4 月4 日と少し前のものになりますが、
共同通信から配信された記事で、今回のコロナ関連の融資に関して興味深いもの
がありました。
内容は、政府が打ち出した資金繰り支援に対する申し込みが10万件にのぼり、申し込み数は今後増加する見込みである、というものです。
この時点で申し込みがこの程度になることは予想されたことで、驚くようなことではありません。
ただ、注目すべきこととは、記事内にあった表です。
(承諾率については、筆者が独自に追加しています)
申込(件) | 承諾(件) | 承諾率(%) | |
政策金融公庫 | 46399 | 21915 | 47.2 |
商工中金 | 6100 | 420 | 6.8 |
信用保証協会 | 43779 | 36890 | 84.2 |
承諾率を見てみると違いが明確に分かります。
商工中金の承諾率は6.8%に対して、保証協会の承諾率は84.2%です。
しかし、申込件数は同じぐらいの政策金融公庫と信用保証協会でも大きく承諾率に差があることが分かります。
もちろん、現時点での数字なので最終的には上がってくるでしょうし、そのようにしていくべきでしょう。
折角の支援制度も利用できなければ意味がないからです。
さて、少なくともこの表から分かることがあります。
このことを理解しているかいないかが、当面の今回のコロナ融資で計画どおりの調達に成功できるかだけでなく、今後の企業が将来にわたっ
て継続できるのかという大きな分岐点になると思います。
それが何かといいますと、令和元年12月に格付マニュアルが完全撤廃された影響は政府系金融機関の審査には明確に影響を与えている、ということです。
もちろん、格付というものが直ぐに無くなるという訳ではないので、格付けを知るということはいまだに意味があることですが、政府系金融機関は、金融庁の指示どおりの方向で融資をしているということです。どういう内容に変わったのかについは、ここだけでは書ききれないので、物凄くザックリ言います。
これまでの決算書だけを重視していた融資ではなくなった、ということです。同じぐらいの申し込みがあっても承諾率がここまで違うのは、中小企業が、もしくはその支援をしている人間(専門家?)がその変化に対応できていないということでしょう。
もちろん市中銀行にも影響を与えていて、どちらかというと今は市中銀行側が、大きく影響が出ないように対応しているという感じです。
つまり、何が言いたいかということは、これまでの銀行交渉の経験は必ずしも役には立たないということです。これはコロナ融資が落ち着いたとしても変わることはなく続いていきます。令和の時代になり銀行交渉が大きくかわったのです。
なので、社長ご自身でやれるようになることでもちろん構わないのですが、支援を受ける人間を間違えてしまうと取り返しのつかないことになる、ということです。