社長の97%が知らない決算書の真実:なぜ「売上と利益しか見ない経営」では会社が危険なのか?

2020.06.03

 

 

📅 更新日:2025年6月13日

社長の97%が知らない決算書の真実:なぜ「売上と利益しか見ない経営」では会社が危険なのか?

「決算書は見ているし、税理士からも説明してもらっているよ」
でも本当に理解していますか?

前回、決算書の数字と経営者の感覚にズレがあることをお話しました。今回は、その具体的な現実をお見せしたいと思います。

30社以上の社長にお聞きした結果、
97%の社長が決算書の本質を理解していない
という衝撃の事実が判明しました。

「決算書を見ている」は本当か?驚愕の調査結果

まず、ここでいう決算書は貸借対照表(BS)損益計算書(PL)のことを指します。財務三表に含まれるキャッシュフロー計算書(CF)については、別の機会に詳しく解説いたします。

社長への質問と衝撃的な回答

経営者の方に「決算書を見ていますか?」と質問すると、大体の方は自信を持ってこう答えてくださいます。

「もちろん見ているし、税理士からも毎年きちんと説明してもらっているよ」

しかし、どの程度把握されているか知りたくて、さらに具体的な質問をしてみると…

97%

の社長が答えられるのは
「売上高」と「税引後利益」だけ

せいぜい「売上総利益」まで

営業利益、経常利益、さらには貸借対照表の主要項目について答えてくださる方は、まずいらっしゃいません。

⚠️ これが意味する恐ろしい現実

売上と最終利益しか見ていない経営は、「車の運転で速度しか見ていない」のと同じです。

エンジンの状態も、燃料も、ブレーキの効き具合も分からずに運転しているようなものなのです。

「数字を覚える」ことが重要なのか?

「そんな細かい数字まで覚えておかなくてはいけないのか?」

そう思われたかもしれません。しかし、私がお伝えしたいのは、決算書の数字そのものを暗記することではありません

📊 本当に重要なのは「財務構造のクセ」

決算書の数字の特徴や流れを把握することが何より大事なのです。

なぜならば、それがあなたの会社の「財務構造のクセ」だからです。

なぜ「過去の数字」が重要なのか?

「過去の数字をいくら分析しても意味がない」とおっしゃる方もおられます。

しかし、これは根本的な誤解です。

🏛️ 孫子の兵法「彼を知り己を知れば百戦危うからず」

改善は「己のクセを把握する」ことからしかスタートできません。

過去の数字は「己を知る」ための最も客観的な材料なのです。

社長が知るべき「財務構造のクセ」とは?

💡 一般的な社長 vs 優秀な社長の違い

一般的な社長が見る項目 優秀な社長が把握している項目
✅ 売上高
✅ 税引後利益
(たまに売上総利益)
✅ 売上高の推移と季節変動
✅ 売上総利益率の傾向
✅ 営業利益の構造
✅ 経常利益への影響要因
✅ 総資産回転率
✅ 自己資本比率の変化
✅ 運転資金の必要額

具体的な「財務構造のクセ」の例

  • 季節性:売上が特定の月に集中する傾向
  • 利益率の変動:材料費や人件費の影響パターン
  • 運転資金の動き:売掛金・買掛金・在庫の回転サイクル
  • 固定費の構造:損益分岐点売上高の推移
  • 資金調達の特徴:借入依存度や返済パターン
このクセを把握していない経営は、
「目隠し運転」と同じです。

なぜ「クセの把握」が収益改善につながるのか?

財務構造のクセを理解することで、以下のような戦略的判断が可能になります:

📈 攻めの経営判断

  • 投資タイミングの最適化:キャッシュフローの波を読んで設備投資
  • 価格戦略の精緻化:利益率への影響を予測した価格設定
  • 新規事業の評価:既存事業との相乗効果を数値で判断

🛡️ 守りの経営判断

  • 資金繰りの予測:季節変動を考慮した資金計画
  • リスク管理:売上減少時の影響度を事前に把握
  • コスト削減の優先順位:最も効果的な削減項目の特定

「収益満開経営」による財務構造改革

まず今すぐできる「クセ把握」の3ステップ

ステップ1:過去3年の数字を並べる

売上高、売上総利益、営業利益、経常利益の3年間の推移をグラフ化してみてください。

ステップ2:月次の変動を確認する

売上や利益に季節性があるか、特定の月に偏りがないかをチェックしてください。

ステップ3:税理士に「なぜ?」を聞く

数字の変動について「なぜそうなったのか?」を税理士に質問してみてください。

まとめ:あなたの会社の「財務構造のクセ」を把握していますか?

今回のポイントをまとめます:

決算書の数字を覚えることではなく、
あなたの会社の「財務構造のクセ」を把握する
ことが真の経営力なのです。

売上と利益しか見ない経営は、もはや「経営」とは呼べません。

会社の健康状態を示すすべての数字の「流れ」と「クセ」を理解してこそ、真の収益改善が始まるのです。

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