社長の97%が知らない決算書の真実:なぜ「売上と利益しか見ない経営」では会社が危険なのか?
でも本当に理解していますか?
前回、決算書の数字と経営者の感覚にズレがあることをお話しました。今回は、その具体的な現実をお見せしたいと思います。
97%の社長が決算書の本質を理解していない
という衝撃の事実が判明しました。
「決算書を見ている」は本当か?驚愕の調査結果
まず、ここでいう決算書は貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)のことを指します。財務三表に含まれるキャッシュフロー計算書(CF)については、別の機会に詳しく解説いたします。
社長への質問と衝撃的な回答
経営者の方に「決算書を見ていますか?」と質問すると、大体の方は自信を持ってこう答えてくださいます。
しかし、どの程度把握されているか知りたくて、さらに具体的な質問をしてみると…
の社長が答えられるのは
「売上高」と「税引後利益」だけ
せいぜい「売上総利益」まで
営業利益、経常利益、さらには貸借対照表の主要項目について答えてくださる方は、まずいらっしゃいません。
⚠️ これが意味する恐ろしい現実
売上と最終利益しか見ていない経営は、「車の運転で速度しか見ていない」のと同じです。
エンジンの状態も、燃料も、ブレーキの効き具合も分からずに運転しているようなものなのです。
「数字を覚える」ことが重要なのか?
「そんな細かい数字まで覚えておかなくてはいけないのか?」
そう思われたかもしれません。しかし、私がお伝えしたいのは、決算書の数字そのものを暗記することではありません。
📊 本当に重要なのは「財務構造のクセ」
決算書の数字の特徴や流れを把握することが何より大事なのです。
なぜならば、それがあなたの会社の「財務構造のクセ」だからです。
なぜ「過去の数字」が重要なのか?
「過去の数字をいくら分析しても意味がない」とおっしゃる方もおられます。
しかし、これは根本的な誤解です。
🏛️ 孫子の兵法「彼を知り己を知れば百戦危うからず」
改善は「己のクセを把握する」ことからしかスタートできません。
過去の数字は「己を知る」ための最も客観的な材料なのです。
社長が知るべき「財務構造のクセ」とは?
💡 一般的な社長 vs 優秀な社長の違い
一般的な社長が見る項目 | 優秀な社長が把握している項目 |
---|---|
✅ 売上高 ✅ 税引後利益 (たまに売上総利益) |
✅ 売上高の推移と季節変動 ✅ 売上総利益率の傾向 ✅ 営業利益の構造 ✅ 経常利益への影響要因 ✅ 総資産回転率 ✅ 自己資本比率の変化 ✅ 運転資金の必要額 |
具体的な「財務構造のクセ」の例
- 季節性:売上が特定の月に集中する傾向
- 利益率の変動:材料費や人件費の影響パターン
- 運転資金の動き:売掛金・買掛金・在庫の回転サイクル
- 固定費の構造:損益分岐点売上高の推移
- 資金調達の特徴:借入依存度や返済パターン
「目隠し運転」と同じです。
なぜ「クセの把握」が収益改善につながるのか?
財務構造のクセを理解することで、以下のような戦略的判断が可能になります:
📈 攻めの経営判断
- 投資タイミングの最適化:キャッシュフローの波を読んで設備投資
- 価格戦略の精緻化:利益率への影響を予測した価格設定
- 新規事業の評価:既存事業との相乗効果を数値で判断
🛡️ 守りの経営判断
- 資金繰りの予測:季節変動を考慮した資金計画
- リスク管理:売上減少時の影響度を事前に把握
- コスト削減の優先順位:最も効果的な削減項目の特定
「収益満開経営」による財務構造改革
🌸 和魂洋才の財務分析
和魂:二宮尊徳の「分度」の考え方で身の丈に合った経営を把握
洋才:現代的な財務分析手法で客観的な現状認識
この統合により、あなたの会社独自の「勝ちパターン」が見えてきます。
まず今すぐできる「クセ把握」の3ステップ
ステップ1:過去3年の数字を並べる
売上高、売上総利益、営業利益、経常利益の3年間の推移をグラフ化してみてください。
ステップ2:月次の変動を確認する
売上や利益に季節性があるか、特定の月に偏りがないかをチェックしてください。
ステップ3:税理士に「なぜ?」を聞く
数字の変動について「なぜそうなったのか?」を税理士に質問してみてください。
まとめ:あなたの会社の「財務構造のクセ」を把握していますか?
今回のポイントをまとめます:
あなたの会社の「財務構造のクセ」を把握する
ことが真の経営力なのです。
売上と利益しか見ない経営は、もはや「経営」とは呼べません。
会社の健康状態を示すすべての数字の「流れ」と「クセ」を理解してこそ、真の収益改善が始まるのです。