先日、1月18日に内閣が国会に第3次補正予算を提出しましたね。
いつものように、予算案のまま可決されると思います。
なので、既に公開されている情報で変更はないでしょうから、今回はその財務に関する中小企業支援について書きます。
昨年の今頃ぐらいだったと思います。
政府系金融の方と「コロナ禍に対応する今以上の特別な融資ってできますかね?」と話しを向けたら「東日本大震災でもこれぐらいだったので、これ以上無いのではないんでしょうか?」といっていました。
その後次々と追加の対策がでたことを既にご存知の通りです。
「間違っていたじゃないか!」ということを言いたいのではなくて、それだけコロナ対策が普通じゃない規模で行われたということです。
さて、今回の第3次補正予算では、さらに資金繰り支援として要件を緩和してきています。
日本政策金融公庫(中小企業事業)2億円 →3億
日本政策金融公庫(国民生活事業)4000万→6000万
商工中金 2億 →3億
民間(信用保証) 4000万→6000万
③のハンコ廃止は、お役所だなぁと思いますが、他の要件はこれで融資して大丈夫か?と思うような内容ですね。
まず、①についてですが、これまで月で取ると審査対象にならないような会社も、まあ、売上が全体的に落ちていないから、そもそもコロナ融資の対象外となる可能性はありますが、入ってくる場合があるといえそうです。
次に②についてですが、試算表がないと、決算から半年以上たっている会社の場合、どんな状況か、つまり全然資金繰りが回っていないなど、半年前の決算書だけでは分からないので、売上対比の資料だけで審査するとなると、そのような会社でも融資を受けられる可能性が出てきます。だとすると、既に死に体の会社でも追加融資が下りる場合も出てきますね。
もちろん、それは受けられる会社にとっては良いことでしょうし、資金繰りを支援することは賛成です。しかし、実態を見ない過剰な融資は、回収不可能な融資になる可能性が高くなって、結果としてさらなる税金での穴埋めということになりかねません。
誤解されていますが、このコロナ融資の政府系金融機関の融資が貸し倒れた場合の処理は、税金によって穴埋めされます。つまり、文字通り国民の負担によって穴埋めされるのです。
このことは保証協会付き融資も同じで、貸し倒れた場合、自治体の財源の中から穴埋めされるわけです。
すでに90兆円ともいわれるコロナ融資が出ていて、だいたい3割ぐらいが貸し倒れることが想定されています。だとすると、既に30兆円近い税金での穴埋めが行われる可能性があるのに、新規融資をすることによって、事業が持ち直すや回復することの実態審査をせずに、さらに融資の要件を緩和することが、本当に中小企業の資金繰り支援につながるのか、に疑問があります。
④についても上限を上げるということなので、②と同じです。