今回は、コンサルティングの現場での話です。
「会計書類の作成は税理士さんに任せていたのですが、間違ってい
たのですか?」
1年半ほど関与している製造業の社長から、先日こんなことを言わ
れました。
いい質問ですね。
社長がやっと会計書類の大事さに気がついてきたので、このような
質問が来たわけです。
さて、どう思いますか?
もちろん、税理士さんが間違っている訳ではありません。
税理士さんのお仕事は、税務署に提出する税務計算書類の作成するこ
とです。
そして、その書類を間違いなく作ることです。
つまり、税金の計算がおかしくないのならば、影響を与えないのなら
ばどのように会計書類を作っていても税務上問題はないのです。
原則、経費の勘定科目が何であれ、売上から引いていくのですから、
税金の計算にズレは出てこないのです。
工場の現場の従業員の給与を販売管理費に、事務員の給与とまとめて
上げていても関係はないのです。
でも、どうでしょうか?
原価に計上するはずの労務費を販管費に入れていれば?
そう、売上総利益がズレますね。
ちなみに、売上総利益は何か?ということを、以前メルマガで書きまし
たが覚えていますか?
一言でいうと、差別化できているかどうか?ということでしたね。
ということは、そのような決算書は会社の実態を把握する目的には
使えない、役に立たないわけです。
では、社長が決算書を読む意味は?
税金の計算ではありませんね。
会社の実態を把握することでしょう。
ということは、税理士さんの考えている決算書と社長が考えている決算
書は目的、役割が違うのです。
目的を把握せずに、社長がただ任せている場合は、税理士さんは自分の
仕事をやるために会計書類を作成します。
そういうと、「専門家なんだから、そこまで作ってくれればいいのに・・・」
と思うかもしれませんが、
でもですよ。
誰だって、求められてもいないのに、分からないこと、評価されな
い手間をかけたくないですから。
特に今のように、個人の確定申告と法人の決算期が集中する3月だと
なるべく余計なことはやりたくないですよね。
あなただって・・
言い換えれば、社長が何のために決算書、会計書類の作成をしている
のか?ということが明確でないと、ただ任せているのでは、社長が欲しい
情報が決算書に載っていないということになるのです。
タイトルの答えを言うのなら、
あなたが、会社のことを良くしたいのなら、社長自身がどのような
会計情報が欲しいのか目的を明確にしましょう。
その上で、任せて、確認できるのなら、大丈夫です。
もし、そうでないのなら、会社の実態を把握することがなく、ただ
会社をやっているのかということです。