財務コンサルタントの長瀬 好征です。
さて、前回までは売上に関するよくある勘違いについて
書いてきました。
社長さんと話していると、売上についての誤解はまだ
まだありますが、それと同じくらい利益についても誤解
していることが沢山あります。
まず、その中の一つである「黒字」について今回は書いて
いきます。
黒字になるとお金は増えているのでしょうか?
ここで言うお金が増えるというのは、期首と期末との
比較においてということです。
どうでしょうか?
社長さんと話していると、
売上ー経費=利益だから黒字、
つまり利益がでればお金が増えていると、
よく思っています。
本当にそうでしょうか?
少し極端な例で考えていきましょう。
小売のお店を開きました。
ここでも理解しやすいように売上総利益だけで「利益」を考え
ていきます。
消費税も無視します。
品揃えを充実させるために500万円かけて仕入をしました。
理解しやすいように10%利益をのっけたしましょう。
1年での売上は220万円でした。
仕入原価は200万円になりますね。
さて、売上総利益はどうなるでしょうか?
直感的には赤字ですよね。
そうなるでしょうか?
売上高 220万円
売上原価 期首棚卸資産 0円
当期商品仕入 500万円
期末棚卸資産 ▲300万円 200万円
売上総利益 20万円
販管費が20万円以下なら営業利益も黒字になりますね。
利益はお金が増えたということを意味しません。
単に、計算上で利益がでているのか?ということを意味す
るだけです。
前回も書きましたが、この原価に対する知識不足が感覚
と損益計算書とのズレを引き起こします。
言い換えると、仕入れがある会社で黒字の会社を作ること
はそんなに難しいことではありません。
在庫を一杯持てば売上原価を少なくすることができますか
ら、黒字になりやすいのです。
在庫については、また別の機会に書くとして、今回言いた
かったのは、
黒字になってもお金が増えている訳ではない。
ということです。
中小企業の経営においては、売上、黒字に拘るよりは「キャ
ッシュ」に拘る方が適切な経営管理ができます。
しかし、殆どの社長は資金繰りに拘るよりも、売上、黒字
に殆どの場合拘っています。
もちろん、売上、黒字に拘ることがいけないことだと言う
つもりはありません。
ただ、会社を継続するという観点からは「キャッシュ」に
拘る方が上手くいきやすいです。
なぜなら、会社は赤字でも潰れません。
会社は債務超過でも潰れません。
しかし、キャッシュが尽きたら、潰れます。
だから、黒字倒産という言葉があるのです。