中小零細企業の社長が悩んでいるのが、「お金」のこと、要は資金繰りだと思います。
現場で財務改善を支援している財務コンサルタントが、
資金繰りを改善する手法を伝えていきます。
9 コミットメントラインの設定
コミットメントラインについても聞いたことが無いと思いますので、用語の説明
からします。
■用語説明
・コミットメントライン あらかじめ金融機関と融資限度額を決めておき、企業から実行
を求められれば、金融機関は約束した限度額までなら拒否できない融資枠のこと。
・コミットメント料 コミットメントラインを設定する際に金融機関に支払う手数料。
・アベナンツ(財務制限条項) 金融機関が融資の条件として課す、一定の財務数値などを維持することを定めた条項。
コミットメントラインのメリットとして、以下のような点が資金繰り改善につながります。
一方で、コミットメントラインにはデメリットもあります。設定手続きが煩雑で費用も高額となる
こと、財務制限条項への抵触リスクなどが挙げられます。
コミットメントラインは確実な資金調達力を持つ反面、高額な手数料などの高コストがかかることがデメリットです。
企業は資金ニーズや財務状況に合わせて、メリット・デメリットを十分に見極める必要があります。
因みに、クレジットラインはその8で説明したコミットメントラインとは異なる仕組みです。
クレジットラインは、あくまでも金融機関側に与信残高の範囲内で融資する義務はないという点で、金融機関は
融資を拒否することができます。つまり、金融機関側に法的拘束力はありません。
一方、コミットメントラインは、あらかじめ決められた条件の範囲内であれば、金融機関側は融資を拒否できない
契約となっています。
企業は確実に融資が受けられるため、より安心して資金計画を立てることができます。
具体的な違いは以下の通りです。
【クレジットライン】
【コミットメントライン】
つまり、コミットメントラインは、融資の確実性は高いものの手数料が高くつく代わりに、
クレジットラインは融資が受けられるかどうか不確実性はあるものの、低コストで設定できる
という違いがあります。
企業はそのニーズに合わせて判断する必要があります。
したがって、コミットメントラインは確実な資金調達手段として有効ですが、その実行可能性や
費用対効果を十分に検討した上で、クレジットラインなどの他の手段と組み合わせて総合的に
資金繰りを改善することが賢明だと言えます。
どちらにしても、社長の計画性と財務の知識が不可欠です。