中小零細企業の社長が悩んでいるのが、「お金」のこと、要は資金繰りだと思います。
現場で財務改善を支援している財務コンサルタントが、
資金繰りを改善する手法を伝えていきます。
17 社債の発行
社債とは企業が資金を調達するための借入金のひとつです。企業が投資家から
一定期間資金を借り入れ、その間一定の利息を支払い、最後に元金を返済するという
仕組みです。
具体的には次のようなステップで行われます。
社債発行と新株発行による資金調達の違いは以下の通りです。
【資金調達方式の違い】
【所有者の違い】
【返済・配当の違い】
【法的性質の違い】
【発行コストの違い】
【財務への影響】
社債の発行のメリットとデメリットは次の通りです。
【メリット】
【デメリット】
このように、会社にとっては恒常的な利払い負担が課されますが、長期的な資金調達手段として有効に
活用できるメリットがあります。発行時の条件設定が重要となります。
もっとも、中小企業においては、一般的な社債の発行ではなく、少人数私募債による社債の発行
が使われています。
一般公募社債と少人数私募債の主な違いは以下の通りです。
【発行対象者の違い】
一般公募社債は、不特定多数の投資家を対象に発行されます。 少人数私募債は、あらかじめ特定された 少人数(49人以下)の投資家のみを対象に発行されます。
【開示規制の違い】 一般公募社債の場合、発行開示資料の作成や継続的な情報開示が義務付けられています。 少人数私募債の場合、開示規制は一般公募社債ほど厳しくありません。
【発行コストの違い】 一般公募社債は引受手数料や開示関連費用などのコストがかさみます。 少人数私募債は発行コストが一般に低く抑えられます。
【メリット】
少人数私募債の方が開示負担が軽く、発行コストも低い
【デメリット】
少人数私募債は調達額に制約があり、資金需要額が大きい場合は公募が必要です。 。
このように、少人数私募債は開示コストが低く抑えられるメリットがある半面、調達額に制約がある というデメリットもありますが、中小企業ではそれほどデメリットとはいえないでしょう。
まとめると、社債の発行は、銀行からの借入れとは異なり、多くの投資家から資金を調達できるメリット
があります。
ただし発行条件次第では高額の利息負担が生じる可能性もあります。
資金繰り改善のために活用されていますが、返済能力や財務内容を考慮する必要があります。
つまり、計画性のある活用が重要です。