中小零細企業の社長が悩んでいるのが、「お金」のこと、要は資金繰りだと思います。
現場で財務改善を支援している財務コンサルタントが、
資金繰りを改善する手法を伝えていきます。
19 値上げによる売上高の改善
値上げによる売上高の改善は、資金繰りを改善する重要な手段の1つです。
簡単に説明しますと、次のようなメリットがあります。
一方で、値上げには以下のようなデメリットもあります。
しかし、殆どの社長が値上げは難しいと始めから思い込んでいます。
特に下請けをやっている会社に多く見受けられます。
下請け企業の社長の方々が値上げを渋る背景には、このような理由があります。
①発注元企業との継続的な取引関係を重視 発注元企業に値上げを許可してもらえなければ、 発注がなくなる恐れがある。長年の取引関係を維持したい。
②価格競争に敗れるリスク 同業他社が値上げしないまま自社だけ値上げすれば、価格競争 で大きく不利になる。
③受注減少への不安 値上げにより受注量が減れば、経営が成り立たなくなる。
しかし、値上げが必要な理由は以下の通りです。
1.適正な利益を確保できない 原材料価格の高騰や人件費上昇で、発注単価が原価を下回るようでは 利益が出ずに経営が成り立ちません。
2.設備投資や人材育成ができない
利益が出ないと将来的な競争力の源泉となる設備投資や人材育成もできません。
3.資金繰りが悪化する 収支がマイナスになれば、運転資金の確保が難しくなり、倒産のリスクが高まります。
特に、今のような急激に円安が進んでおり、資源価格及び人件費が高騰している時期においては必須といえます。
つまり、値上げは企業の持続的な発展のために避けられない課題なのです。
最初は思い切った値上げは難しいかもしれませんが、少しずつ原価に見合うよう値上げを重ね、
適正な利益の確保を目指すべきでしょう。
そうでなければ、いずれ経営が立ち行かなくなる可能性があるのです。
でもなかなか値上げができません。
それは、社長の思考プロセスにいくつかの誤りがあると感じています。
経営においては、自社の強みや価値創造を正しく認識し評価すること、短期と長期のバランスを取ること、
リスクをある程度許容することなどがとても重要です。
こうした観点が欠落していると、適正な値上げ判断ができなくなる可能性があります。
そして、値上げができない、最大の原因は、計画性のなさです。
値上げのような重大な決定は、十分な計画と準備が不可欠です。
計画性が欠けているので、
つまり、計画性が欠如しているため、値上げの意義、影響、リスクなどを多角的に検討し、
適切に対応することができません。
これに対し、しっかりとした計画プロセスを経ることで、値上げが経営にもたらす影響を予め分析し、
望ましい値上げ水準を見極め、リスク対策を講じることができます。
このように、値上げは計画性が非常に重要な意思決定なのです。
経営における計画性の重要性を再認識する必要があります。