中小零細企業の社長が悩んでいるのが、「お金」のこと、要は資金繰りだと思います。
現場で財務改善を支援している財務コンサルタントが、
引き続き資金繰りを改善する手法を伝えていきます。
28 支払条件の統一化
資金繰り改善の一手法として、支払条件の統一化があります。
これは、企業が取引先に対して支払う際の条件を整理し、統一することを指します。
わかりやすく説明しますと、以下のようになります。
例えば、「全取引先に対して月末締め翌月25日払い」などに統一するのがよくあります。
このように、支払条件を統一化することで、支払業務が効率化され、手数料削減やミスリスク低減
にもつながります。結果として、資金繰りが改善されるのです。
ところが、多くの社長が支払条件について十分に検討していないのが実状です。
それは、営業が最優先で、資金繰りまで意識が及ばないことも多いでしょう。
しかし、支払条件の統一化は資金繰り改善に大きく寄与するため、その重要性を理解しなくてはいけません。
具体的なメリットを挙げると、
①支払の平準化
支払条件を統一することで、月々の支払額がある程度平準化されます。
これにより、ある月に支払が集中して資金ショートに陥るリスクが低減します。
②手形割引による資金調達の平準化
手形割引を利用している場合、支払条件の統一化により割引時期も平準化され、
金融機関への過度な資金依存を避けられます。
③経理業務の効率化
取引先ごとに条件がバラバラだと、確認や訂正作業が膨大になり、ミスするリスクも高まります。
条件を統一すれば、こうした業務負荷が軽減されます。
④キャッシュフローの見通し向上
支払条件が統一されていれば、将来の支払予定がわかりやすくなり、キャッシュフロー管理が
適切にできるようになります。
このように、支払条件の統一化は経営資源の無駄を省き、計画的な資金運用を可能にできます。
支払条件の統一化については、「出を遅くする」という観点よりも、「入りと出の管理をしやすく
する」という側面が強いです。
つまり、支払条件を統一することで、経営資源を無駄なく使えるようになり、資金繰り管理を適
切に行いやすくなるというメリットがあるわけです。
仕入先との交渉によりサイトを最大限に遅らせることも大切ですが、並行して条件を統一し、
管理体制を強化することが、総合的な資金繰り改善につながると言えます。