資金繰り改善の手法 その34 在庫ロスの発見と防止

2024.09.10

「会社の悩みの種は何ですか?人材?在庫?それとも…お金?」
多くの社長が頷くのは、きっと「お金」でしょう。
特に中小企業にとっては、資金繰りは永遠の課題のように感じられるかもしれません。

でも、ここだけの話。実は「お金」の問題こそ、最も解決しやすいんです!
「えっ、本当に?」と思いましたか?
本当です。

私、長瀬好征は中小企業の財務を専門にコンサルティングをしてきました。
そして、数々の企業の資金繰りを改善してきた秘訣があるんです。

その秘訣をあなたにもお伝えたいと思っています。
すぐに実践できる方法ばかりです。
これを読めば、あなたの会社の資金繰りが劇的に改善するかもしれません。

その34  在庫ロスの発見と防止について

棚卸しは棚卸資産を持つ会社にとっては大切なことですが、特に製造業にとっては業績に直結
します。なので、製造業を例として詳しく説明いたします。

1. 原材料の無駄遣いの防止

製造業では、原材料の適切な管理が利益に直結します。定期的な棚卸しにより、以下のような無
駄を発見し、防止できます。

具体例:
金属加工業A社では、月次の棚卸しを始めたところ、高価な特殊合金の使用量が帳簿上の数字と
大きく異なることが判明しました。
調査の結果、加工時の端材が想定以上に出ていることがわかりました。
切断方法の見直しにより、年間で原材料費を5%削減することができました。

2. 不良在庫の早期発見

製品や部品の設計変更、受注キャンセルなどにより発生する不良在庫を早期に発見し、対策を講
じることができます。

具体例:
電子部品メーカーB社では、四半期ごとの棚卸しで、ある製品の部品が大量に余っていることを発見
しました。製品の設計変更により不要となった部品でした。早期に発見できたため、他の製品への
流用や、取引先への転売などの対策を講じることができ、廃棄損失を最小限に抑えられました。

3. 仕掛品の滞留防止

製造途中の仕掛品が長期間滞留すると、資金の固定化や品質劣化のリスクがあります。定期的な棚
卸しで、このような滞留を防げます。

具体例:
家具メーカーC社では、月次の仕掛品棚卸しを実施したところ、特定の工程で半製品が滞留している
ことが判明しました。ボトルネックとなっていた工程を特定し、作業手順の見直しと人員配置の最適
化を行った結果、生産リードタイムを2週間短縮することができました。

4. 工具・消耗品の紛失防止

製造現場では、工具や消耗品の管理が疎かになりがちです。定期的な棚卸しにより、紛失や不必要な
発注を防げます。

具体例:
精密機器メーカーD社では、年2回の工具棚卸しを始めました。すると、高価な測定器が行方不明にな
っていることが判明。社内での捜索の結果、別の部署で長期間借用されていたことがわかりました。
これを機に工具管理システムを導入し、年間の工具購入費を30%削減できました。

5. 品質劣化の防止

適切な在庫管理により、原材料や製品の品質劣化を防ぐことができます。

具体例:
食品メーカーE社では、月次の原材料棚卸しを実施したところ、賞味期限の管理が不十分で、一部の原
材料が使用不能になっていることがわかりました。先入れ先出し方式の徹底と在庫管理システムの導入
により、原材料の廃棄ロスを年間90%削減することができました。

6. 盗難・横領の抑止と発見

定期的な棚卸しは、従業員による盗難や横領の抑止力となるとともに、万が一の場合の早期発見にも役立
ちます。

具体例:
機械部品メーカーF社では、四半期ごとの棚卸しで、高価な希少金属の在庫数が帳簿と合わないことが判明
しました。調査の結果、従業員による横領が発覚。早期発見により被害を最小限に抑えるとともに、再発
防止策を講じることができました。

7. 生産計画の最適化

正確な在庫状況の把握は、適切な生産計画の立案につながります。

具体例:
自動車部品メーカーG社では、週次の棚卸しを実施することで、部品ごとの在庫推移を詳細に把握できるよ
うになりました。これにより、生産計画の精度が向上し、納期遅延を年間で50%削減。顧客満足度の向上に
もつながりました。

8. 設備稼働率の向上

在庫状況の正確な把握は、設備の効率的な運用にも寄与します。

具体例:
プラスチック成形メーカーH社では、月次の金型棚卸しを始めました。その結果、使用頻度の低い金型が多数あるこ
とが判明。金型の共通化や廃棄を進めることで、金型の保管スペースを30%削減。空いたスペースを新たな生産ライ
ンの増設に活用し、売上増加につなげることができました。

これらの具体例からわかるように、在庫ロスの発見と防止は、製造業にとって非常に重要です。単なるコスト削減だ
けでなく、生産性の向上、品質管理の徹底、さらには新たな事業機会の創出にもつながる可能性があります。

社長の皆様には、在庫管理を単なる経理作業とみなすのではなく、経営改善の重要なツールとして認識していただき
たいと思います。定期的な棚卸しの実施と、その結果の分析・活用を通じて、御社の競争力向上につなげていくこと
をおすすめします。

メルマガ詳細