「会社の悩みの種は何ですか?人材?在庫?それとも…お金?」
多くの経営者が頷くのは、きっと「お金」でしょう。
特に中小企業のとっては、資金繰りは永遠の課題のように感じられるかもしれません。
でも、ここだけの話。実は「お金」の問題こそ、最も解決しやすいんです!
「えっ、本当に?」と思いましたか?
本当です。
私、長瀬好征は中小企業の財務を専門にコンサルティングをしてきました。
そして、数々の企業の資金繰りを改善してきた秘訣があるんです。
その秘訣をあなたにもお伝えたいと思っています。
すぐに実践できる方法ばかりです。
これを読めば、あなたの会社の資金繰りが劇的に改善するかもしれません。
その35 適切な仕入れ計画における棚卸しの必要性と「カン」頼みの危険性:
殆どの中小零細企業は仕入をなんとなくでやっています。
ひどい場合には、「安いから仕入れておくか」で仕入て資金繰りを著しく悪く
していることも散見します。
今回は「カン」による仕入がどれほど資金繰りに悪影響を与えているのか?
について書いています。
1. 正確な在庫数量の把握 vs. 「カン」の不確実性
棚卸し:正確な在庫数量を把握できます。
「カン」の問題点:主観的な判断に頼るため、実際の在庫状況と大きくずれる可能性
があります。
具体例:
文房具店Aさんは、長年の経験による「カン」で仕入れを行っていました。
ある日、大口の注文が入りましたが、在庫が足りず注文を逃してしまいました。
一方で、別の商品は過剰に仕入れていたため、倉庫に眠ったままになっていました。
月次の棚卸しを始めてからは、各商品の正確な在庫数がわかるようになりました。
その結果、大口注文にも即座に対応でき、過剰在庫も70%削減できました。
「カン」では見逃していた季節変動パターンも、データから明確に把握できるようになりました。
2. 需要予測の精度向上 vs. 「カン」の偏り
棚卸し:過去のデータに基づく客観的な需要予測が可能になります。
「カン」の問題点:個人の経験や思い込みに基づくため、市場の変化を見逃す危険性があります。
具体例:
衣料品店Bさんは、季節商品の仕入れを店長の勘に頼っていました。
しかし、店長の好みが強く反映され、実際の顧客ニーズとのミスマッチが生じていました。
四半期ごとの棚卸しを始めたところ、各商品の販売速度が明確になりました。
データ分析の結果、店長の「カン」とは異なる顧客層の存在が判明。
品揃えを見直した結果、売上が前年比30%増加しました。
3. 資金繰りの改善 vs. 「カン」による資金の固定化
棚卸し:必要最小限の在庫で運営でき、資金効率が向上します。
「カン」の問題点:過剰在庫や不良在庫により、資金が固定化される危険性があります。
具体例:
八百屋Cさんは、「カン」で仕入れを行い、「多めに仕入れておけば安心」と考えていました。
しかし、実際には大量の廃棄ロスが発生し、資金繰りが悪化していました。
月次の棚卸しを始めてからは、各商品の適正在庫量が分かるようになり、仕入れ量を最適化できました。
その結果、在庫金額を40%削減し、廃棄ロスも80%削減。浮いた資金で店舗改装を行い、集客力が向上しました。
4. 仕入れタイミングの最適化 vs. 「カン」による機会損失
棚卸し:データに基づき、最適な仕入れタイミングを把握できます。
「カン」の問題点:突発的な需要変動に対応できず、機会損失や過剰仕入れのリスクがあります。
具体例:
雑貨卸売業Dさんは、取引先からの急な注文に対応するため、「カン」で在庫を多めに保有していました。
しかし、予想外の需要変動に対応できず、機会損失と過剰在庫が同時に発生していました。
週次の棚卸しを始めたところ、商品ごとの出荷頻度が明確になりました。
これにより、需要の波を予測し、適切なタイミングで仕入れを行えるようになりました。
結果、在庫回転率が1.5倍に向上し、機会損失を90%削減できました。
5. 不良在庫の早期発見と対策 vs. 「カン」による問題の先送り
棚卸し:滞留在庫や不良在庫を早期に発見し、迅速に対策を講じることができます。
「カン」の問題点:問題が大きくなるまで気づかず、対応が後手に回るリスクがあります。
具体例:
玩具店Eさんは、「カン」で人気が続くと思った商品を大量に仕入れていました。
しかし、実際には流行が急速に終わり、大量の不良在庫を抱えることになりました。
月次棚卸しを始めたところ、商品ごとの販売速度が明確になりました。
人気商品の売れ行き鈍化を早期に発見し、タイムリーなセール施策を打つことで、不良在庫の
発生を70%抑制できました。
6. 仕入れコストの削減 vs. 「カン」による非効率な発注
棚卸し:適切な発注量の設定やまとめ買いにより、仕入れコストを削減できます。
「カン」の問題点:小口発注や緊急発注が増え、仕入れコストが割高になりがちです。
具体例:
薬局Fさんは、「カン」で品切れを恐れて小口での頻繁な発注を行っていました。
その結果、配送料や緊急発注料が嵩み、利益率が低下していました。
月次の棚卸しを始めてからは、商品ごとの適正在庫量が明確になり、計画的な発注が可能になりました。
その結果、まとめ買いによる価格交渉力が高まり、年間の仕入れコストを15%削減。
さらに、発注作業時間も半減し、接客時間の増加にもつながりました。
7. 季節変動への対応 vs. 「カン」による対応遅れ
棚卸し:過去のデータから季節変動を予測し、先手を打った対応が可能です。
「カン」の問題点:その年の特殊な状況を見誤り、適切な対応が遅れるリスクがあります。
具体例:
アイスクリーム製造業Gさんは、「カン」で例年通りの生産計画を立てていました。
しかし、猛暑による急激な需要増に対応できず、大きな機会損失が発生していました。
月次の棚卸しデータを分析したところ、気温と売上の相関関係が明確になりました。
これにより、天気予報を参考に生産計画を立てることができるようになり、猛暑時の生産量を
適切に増やすことで売上を50%増加させました。
同時に、天候不順時の過剰生産も抑制でき、廃棄ロスも大幅に削減できました。
結論:
「カン」による仕入れは、経験豊富な経営者の直感が当たる場合もありますが、市場環境の急激
な変化や予期せぬ事態に対応するには限界があります。一方、適切な棚卸しとデータ分析に基づく
仕入れ計画は、より客観的で精度の高い意思決定を可能にします。
棚卸しを定期的に行い、そのデータを活用することで、過剰在庫や品切れのリスクを最小限に抑え、
資金効率を高め、結果として顧客満足度の向上と利益率の改善につながります。
初めは手間がかかるように感じるかもしれませんが、棚卸しの習慣化により、中長期的には大きな経営
改善効果が期待できます。
まずは月次や四半期など、無理のない頻度から始め、徐々に精度を高めていくことをおすすめします。
そして、データに基づく意思決定と、経営者の経験や直感をバランス良く組み合わせることで、より
強固な経営基盤を築くことができるでしょう。