多くの社長は「商品やサービスを納品すれば、売上が立ち、お金が増える」
と考えています。
確かに、決算書の上ではそうかもしれません。
しかし、実際の資金繰りは全く違う動きをしているのです。
ある社長との会話をご紹介します。
社長:「売上は順調に伸びているのに、なぜか通帳の残高が減っていくんです」
私:「それは、資金が商品やサービスに変わっているからですね」
社長:「どういうことですか?」
この社長の疑問は、多くの社長が抱える悩みの本質を表しています。
■まず、お金の動きを理解しましょう
例えば、100万円の商品を販売する場合を考えてみましょう。
【一般的な流れ】
この間、あなたの会社のお金はどうなっているでしょうか?
・仕入代金は先に支払う ・人件費は毎月支払う ・家賃や光熱費も発生する
・その他の経費も必要
つまり、受注してから入金されるまでの期間、必要な資金は全て会社が立て替えているのです。
■数字で見てみましょう
月商1,000万円の会社の例:
【支出】
・仕入代金:500万円(納品前に支払)
・人件費:300万円(毎月25日) ・その他経費:100万円(都度支払) 合計:900万円
【入金】
・売上1,000万円(2ヶ月後に入金)
この場合、2ヶ月分の運転資金、つまり1,800万円が必要になります。
これが「売上が増えるほど資金繰りが苦しくなる」理由です。
■多くの社長が陥る誤解
・売上は権利が発生しただけ
・実際のお金は入金されるまで増えない
・支払から回収までの全期間が重要
・その間の資金を会社が準備する必要がある
・気づいた時には取り返しのつかない状態に
■ではどうすれば良いのか?
まず必要なのは、自社の「資金の動き」を理解することです。
・受注から入金までの流れ ・その間に発生する支出
・実際の資金の動き
・受注から納品までの日数
・納品から入金までの日数
・支払いのタイミング
・月々の固定費
・変動費の支払時期
・入金までの必要運転資金
■具体的な改善のヒント
・請求のタイミング
・入金条件の見直し
・前受金の検討
・仕入れ時期の最適化
・支払条件の交渉
・在庫の適正化
・週単位での資金の動き
・月単位での収支計画
・季節変動への対応
■最後に
「納品=お金が増える」という考え方を
改める必要があります。
むしろ、 「納品=資金が商品やサービスに形を変えた」
と考えるべきです。
その上で、どうすれば資金の動きを
スムーズにできるか、を考えることが
資金繰り改善の第一歩となります。
次回は、具体的な改善方法として、
受注から納品までの期間短縮について お話ししたいと思います。
今日は、まず自社の受注から入金までの
流れを図に書き出してみてください。
それだけで、新しい発見があるはずです。