賞与についてどのようにお考えでしょうか?
多くの企業では、夏と冬に賞与が当たり前のように実施されています。
しかし、この「当たり前」が、実は会社の成長を妨げているかもしれません。
なぜなら、それでは賞与は単なる給与の後払いのように認識され、本来の賞与の意味が
失われているからです。
賞与とは本来、会社の業績に応じて支給される報酬のはずです。
しかし、このような賞与が定着してしまうと、従業員にとって支給が当然の権利のよう
に認識され、会社の業績との連動性が薄れていきます。
その結果、従業員の経営参画意識が育ちにくくなってしまいます。
これに対して、決算賞与には大きな意義があります。
決算賞与は会社の業績と直結しているため、従業員一人一人が会社の数字に関心を持ち、
コスト意識を持って働くようになります。
自分たちの努力が会社の業績を通じて賞与に反映されることで、より主体的な業務改善や
提案が生まれやすくなるのです。
ただし、この転換には慎重な準備が必要です。
まず、就業規則の変更や労使協定の締結など、法的手続きを適切に行う必要があります。
また、従業員の生活設計にも大きく関わる問題であるため、丁寧な説明と対話が欠かせません。
特に重要なのは、経営者自身が積極的に経営情報を開示し、従業員との対話を重ねることです。
なぜこの変更が必要なのか、
どのように業績と賞与が連動するのか、
会社の現状や将来像も含めて、
分かりやすく説明する必要があります。
また、従業員が経営に興味を持てるような仕組みづくりも重要です。
定期的な業績報告会の開催、財務の基礎知識に関する研修、業界動向の共有など、従業員が経営に
ついて学び、考える機会を積極的に設けることが大切です。
このような取り組みを通じて、従業員一人一人が経営者的な視点を持ち、会社の成長に主体的に
関わることができるようになります。
賞与制度の見直しは、そのための重要な転換点となるのです。
ただし、これらの変更は一朝一夕にはいきません。
まずは現状分析を行い、従業員との対話を重ねながら、段階的に進めていくことをお勧めします。
拙速な変更は、かえって従業員のモチベーション低下を招く可能性があるからです。
賞与制度の見直しは、単なる支給時期や方法の変更ではありません。
これを機に、全従業員が会社の成長を自分事として考え、取り組める組織文化を育てることが重要
なのです。
なお、具体的な制度設計や法的手続きについては、社会保険労務士等の専門家に相談することをお
勧めします。