資金繰り改善の手法 その49 滞留債権の処理

2025.01.16

コンサルティングをしていて多くの会社に関与させてもらっていると、赤字の会社
には共通点があります。

それは、滞留債権がある、ということです。

今回は、未回収の売掛金(滞留債権)について、分かりやすく解説していきます。

まず、「滞留債権」とは何でしょうか?

簡単に言うと、「支払期日を過ぎても回収できていないお金」のことです。
例えば:
・お客様との約束では翌月末に支払ってもらうはずが、3ヶ月たっても入金がない
・手形の支払日が来ても現金化できない
・「今月は支払えないので、来月まで待ってほしい」が何度も繰り返されている

このような状態のお金を「滞留債権」と呼びます。

では、なぜこれが危険なのでしょうか?

たとえば、あなたのお客様から100万円の支払いが3ヶ月遅れているとします。
その間、あなたの会社では:

・仕入先への支払いはしなければならない
・従業員の給与は毎月支払わなければならない
・家賃や光熱費も待ってくれない

つまり、入ってくるはずだったお金が入ってこないのに、出ていくお金は確実に出ていくのです。
これが会社の資金繰りを苦しくする大きな原因となります。

さらに怖いのは、支払いが遅れれば遅れるほど、そのお金が回収できなくなるリスクが
高まることです。

極端な場合、お客様が倒産してしまえば、そのお金は二度と戻ってこない可能性もあります。

では、どうすれば良いのでしょうか?

まず大切なのは、「早く気づくこと」です。

具体的には:
・毎週、入金状況をチェックする
・支払期日を過ぎている売掛金をリストアップする
・遅れている期間ごとに分類する(1ヶ月未満、3ヶ月未満、3ヶ月以上など)

次に、警戒すべき兆候をご紹介します:
・今まで約束通り支払っていた会社が、突然遅れ始める
・電話をかけても「担当者が不在」と言われ続ける
・「支払いますから」と言うだけで、具体的な支払日を言わない
・業界での評判が急に悪くなる

このような兆候が見られたら、すぐに行動を起こす必要があります:

1. まずは電話をかける
・なぜ支払いが遅れているのか確認
・いつ支払ってもらえるのか、具体的な日付を確認
・約束した内容はメモを取る

2. 必要に応じて訪問する
・経営者にも会えるよう依頼
・支払計画書を書面でもらう
・場合によっては分割払いを提案する

3. それでも改善されない場合
・専門家(弁護士など)に相談
・法的手続きの検討
・債権回収会社の活用を検討

また、このような問題を防ぐために:
・新規取引開始時は必ず信用調査を行う
・取引開始時に支払条件を明確にする
・可能な限り、前金や保証金をもらう
・自動引き落としの活用を検討する

特に重要なのは、「問題を先送りにしない」ことです。

支払いが遅れたらすぐに行動を起こす。これが鉄則です。

最後に、よくある誤解をお伝えします:
「長年の取引先だから大丈夫」
「営業担当者を信頼しているから任せておける」
「催促すると取引先との関係が悪くなる」

これらは全て危険な考え方です。
滞留債権の管理は、会社の存続にかかわる重要な業務です。
担当者任せにせず、経営者自身が状況を把握し、必要な対応を行うことが大切です。