メルマガ第122回
『賃上げさえすれば・・・という幻想 ~なぜお金だけでは人は動かないのか~』
を配信しました。
「お金だけが全てではない」: 人材定着の本質を考える
今週のメルマガで紹介した「賃上げという幻想」の内容が非常に示唆に富んでいたので、
ブログでも共有したいと思います。
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人手不足が深刻化する中、多くの企業が賃上げによる人材確保・定着を模索しています。
しかし、「給料を上げれば人は定着する」という単純な図式は、実は大きな落とし穴を
抱えているのではないでしょうか。
メルマガ第122回では、日本教育心理学会の学術研究を引用しながら、この問題に切り
込んでいます。
この研究によれば、人の動機づけには「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の2種類
があり、持続的な成果をもたらすのは前者だということが明らかにされています。
内発的動機づけとは、活動自体への興味や関心から生まれるもの。
一方、外発的動機づけは報酬などの外的要因によるものです。
研究結果では、内発的動機づけが高い学習者は深い理解と持続的な意欲を示し、より良い
成果を達成していました。
この知見を企業経営に当てはめると、賃上げ(=外発的動機づけ)のみでは本質的な解決
にならない理由が見えてきます。
賃上げの効果は一時的であり、慣れとともに薄れていくのです。さらに懸念すべきは、
金銭的報酬への依存が仕事本来の面白さや自主性を損なう可能性があること。
また、賃上げだけでは、職場環境の問題、キャリア成長の機会、仕事の意義づけといった
本質的な課題は解決されません。
では、真の人材定着に必要なものは何でしょうか?
メルマガでは3つの重要な取り組みが示されています:
1. 内発的動機づけの強化(仕事の意義明確化、自己成長機会の提供など)
2. 総合的な人材育成(キャリアパスの明示、成長を実感できる仕組みなど)
3. 職場環境の整備(働きがい創出、適切な権限委譲など)
経営者は「金銭だけが報酬ではない」という本質を理解し、評価制度の見直しや
育成計画の策定など、具体的な施策を展開することが求められています。
賃上げは確かに必要な施策の一つですが、それだけでは不十分。
やりがいのある仕事、成長の機会、良好な職場環境、明確なキャリアパスとの組み
合わせてこそ、賃上げは意味を持つのです。
計画なき賃上げは、かえって会社を弱体化させるリスクがあることを肝に銘じておくべきでしょう。
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