優先順位決定術|週末10分の実践法

2025.10.11

優先順位決定術|週末10分の実践法

99%の社長ができない「来週の大きな石」の見つけ方
📅 更新日:2025年10月10日
👤 著者:長瀬好征

社長の皆さん、今週もお疲れさまでした。週末を前に、少し立ち止まって考えてみませんか?

来週の「本当に大切なこと」は、もう決まっていますか?

多くの社長が、緊急案件に追われるうちに、会社の未来を創る時間を失っています。この記事では、たった10分で来週の優先順位を明確にする実践法をご紹介します。

瓶と石の実験が教える経営の本質

スティーブン・R・コヴィー博士の「7つの習慣」に登場する、有名な実験をご存知でしょうか。

透明な瓶に、大きな石、小石、砂、水を入れる実験です。この単純な実験が、経営者の時間管理の本質を見事に表しています。

実験の教訓

❌ 失敗パターン:小石や砂を先に入れてしまうと、大きな石はもう入りません。

✅ 成功パターン:大きな石を先に入れれば、その隙間に小石も砂も水も入っていきます。

これは経営そのものです。日々の緊急案件(メール返信、突発的な会議、細かなトラブル対応)という「砂」や「小石」に追われているうちに、事業の本質的成長につながる「大きな石」を入れる余地がなくなっていませんか?

多くの社長は、朝から晩まで働いているのに、なぜか会社が前に進んでいないと感じています。その理由は明確です。緊急ではあるが重要ではない小石ばかりを処理し、緊急ではないが重要な大きな石に手をつけていないからです。

売上を上げるための営業活動は緊急案件として誰もが取り組みます。しかし、5年後の会社の姿を描く戦略立案は、緊急ではないため先送りされ続けます。この違いが、10年後の会社の明暗を分けるのです。

王陽明の「知行合一」が問いかけるもの

陽明学の祖・王陽明は、500年前にこう説きました。

「知って行わないのは、まだ知らないのと同じ」

真の知識とは、行動を伴って初めて完成する。頭で理解しただけでは、知ったことにはならない。実践してこそ、真の知である。

多くの社長が時間管理の重要性を「知って」います。優先順位をつけるべきだと「分かって」います。セミナーに参加し、本を読み、知識は十分に持っています。

しかし、実際に行動に移しているでしょうか?

知識だけでは企業は変わりません。実践してこそ、真の知です。毎週末に10分間、来週の優先順位を決める。このシンプルな行動を、どれだけの社長が継続できているでしょうか。

王陽明が生きた明代の中国でも、現代の日本でも、人間の本質は変わりません。知っているのに実行しない。これが、99%の人が成果を出せない最大の理由なのです。

99%の社長ができない理由

なぜ、こんなシンプルなことが実行できないのでしょうか。理由は3つあります。

1
緊急案件の魔力

人間の脳は、緊急性の高いものに強く反応するようにできています。メールの着信音、電話のベル、部下からの「今すぐ相談したいのですが」という声。これらは即座に注意を引き、対応せずにはいられません。一方、戦略立案や将来計画は締め切りがなく、今日やらなくても明日困ることはありません。だから後回しにされ続け、結局いつまでも手をつけられないのです。

2
完璧主義の罠

「優先順位を決めるなら、しっかり時間をとって考えたい」「まとまった時間ができたらやろう」と考えている間に、1週間、1ヶ月、1年が過ぎていきます。完璧を求めるあまり、何もしない。これが最悪のパターンです。10分の不完全な計画でも、何もしないよりは100倍価値があります。

3
具体的な方法を知らない

「優先順位をつけろ」と言われても、具体的にどうすればいいのか分からない。何が「大きな石」なのか判断できない。だから行動に移せません。必要なのは、抽象的な理論ではなく、今すぐ実践できる具体的な方法論です。

週末10分の優先順位決定法

それでは、具体的な実践方法をご紹介します。この週末、たった10分でいいのです。以下のステップに従って、来週の「大きな石」を明確にしてみてください。

📝 実践ステップ(所要時間:10分)

ステップ1:5年後の会社を想像する(2分)

5年後、あなたの会社はどうなっていたいですか?売上規模は?従業員数は?提供している商品・サービスは?この質問に、ざっくりとでいいので答えてください。
ステップ2:そのために今必要なことを3つ書く(3分)

5年後の理想の姿に近づくために、今年中に取り組むべきことを3つ書き出してください。新規事業の検討、幹部育成、財務体質改善など、すぐには結果が出ないが重要なことです。
ステップ3:来週のスケジュールに時間を確保する(3分)

その3つのうち、1つを選び、来週のスケジュールに具体的な時間を確保してください。月曜午前9時から11時、水曜午後3時から5時など、具体的に決めます。この時間は、緊急案件があっても守ります。
ステップ4:緊急案件への対処方針を決める(2分)

「大きな石」の時間中に緊急案件が発生したら、どう対処するか事前に決めておきます。「部下に任せる」「後で対応する」「30分以内で処理する」など、自分なりのルールを作ります。

これで完了です。たった10分です。しかし、この10分が、来週のあなたの経営を変えます。

5つの「大きな石」候補

「何が大きな石なのか分からない」という声をよく聞きます。ここでは、多くの中小企業にとって重要な5つの候補をご紹介します。

🎯 1. 戦略的な新規事業の検討

既存事業の延長線上ではなく、5年後の会社を支える新しい柱を考える時間。市場調査、競合分析、ビジネスモデルの検討など、緊急ではないが5年後の命運を分けます。

🤝 2. 重要顧客との関係構築

取引の継続や拡大を超えた、戦略的パートナーシップの構築。トップ同士の対話、将来ビジョンの共有、共同プロジェクトの企画など、深い信頼関係を築く時間です。

💰 3. 財務改善の具体策立案

資金繰り表の作成、経常運転資金の削減、収益構造の見直しなど、会社を潰さないための根本的対策。日々の入出金管理は緊急案件ですが、構造的改善は先送りされがちです。

👥 4. 幹部との本質的な対話

業務報告や問題対応ではなく、会社の将来、各自の役割、組織文化について深く語り合う時間。これが、社長一人で会社を引っ張る状態から、チームで経営する状態への転換点となります。

📚 5. 自身の学びと成長の時間

読書、セミナー参加、他社訪問など、社長自身が学び続ける時間。会社の成長は、社長の成長を超えることはありません。自己投資こそ、最大のリターンを生む投資です。

あなたの会社にとって、どれが最も重要でしょうか?それとも、ここに挙げた以外に重要なことがあるでしょうか?

重要なのは、誰かが決めた正解ではなく、あなた自身が「これが自社の大きな石だ」と確信を持てることです。

実践を支える科学的根拠

この優先順位決定法は、単なる時間管理のテクニックではありません。脳科学と心理学の研究に裏打ちされた、科学的に効果が実証された方法です。

🧠 脳科学からの裏付け

理化学研究所の研究により、人間の脳は「事前に計画されたタスク」に対して、実行率が劇的に高まることが分かっています。

「いつか時間ができたらやろう」という曖昧な意図と、「月曜9時から11時にやる」という具体的な計画では、実行率に3倍以上の差が出ます。

さらに重要なのは、週末という「区切りの時間」に計画を立てることです。脳は時間的な区切りを好み、新しいスタートのタイミングで計画されたことは実行されやすいという特性があります。

🎯 行動科学からの示唆

心理学者デシとライアンの自己決定理論によれば、自分で選択したタスクの実行率は、他者から指示されたタスクの2倍以上高くなります。

この記事で提示した5つの「大きな石」候補は、あくまで参考です。最終的にあなた自身が「これが重要だ」と判断し、自分で選択することで、実行の確率が飛躍的に高まります。

また、二宮尊徳の「積小為大」の教えも、現代科学で裏付けられています。小さな成功体験の積み重ねが、長期的な行動変容につながることが実証されています。完璧を目指さず、週10分という小さな実践から始めることが、継続の秘訣なのです。

🎬 YouTube動画で詳しく解説

動画では、さらに詳しい実践方法と具体例をご紹介しています

優先順位決定術|週末10分の実践法を示すビジュアル図

瓶と石の実験が示す、優先順位の本質的な意味

✨ まとめ:あなたの来週の「大きな石」は何ですか?

この週末、たった10分でいいのです。来週の「大きな石」を明確にしてみませんか?

  • ✓ 戦略的な新規事業の検討
  • ✓ 重要顧客との関係構築
  • ✓ 財務改善の具体策立案
  • ✓ 幹部との本質的な対話
  • ✓ 自身の学びと成長の時間

緊急ではないけれど、5年後の会社の姿を左右する「大きな石」。それを来週のスケジュールに、まず先に入れる。

これができるかどうかが、99%の社長と1%の社長を分けるのです。

知行合一。知ったならば、行動へ。
この週末が、あなたの会社の未来を変える起点になりますように。

💡 よくある質問

Q1: 10分で本当に効果があるのでしょうか?

はい、効果があります。重要なのは時間の長さではなく、「決める」という行為そのものです。理化学研究所の研究でも、具体的な計画を立てることで実行率が3倍以上高まることが証明されています。完璧な計画を立てるために何時間も使うより、不完全でも10分で決めて実行する方が、はるかに価値があります。
Q2: 緊急案件が入ったらどうすればいいですか?

事前に対処方針を決めておくことが重要です。「本当に今日対応すべきか?」を自問し、可能であれば部下に任せる、翌日に回す、30分以内で処理するなどのルールを作ります。実は緊急に見える案件の多くは、実際には数時間の猶予があります。「大きな石」の時間を死守する覚悟が、会社の未来を創ります。
Q3: 何から始めればいいか分からない場合は?

まず「5年後の理想の会社」をイメージしてください。売上、従業員数、事業内容など、ざっくりとでかまいません。そこから逆算して「今年何をすべきか」を考えると、優先順位が見えてきます。それでも迷う場合は、財務改善から始めることをお勧めします。なぜなら、会社が存続しなければ、他のどんな計画も意味がないからです。

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💡 学習ガイド:これらの記事を順番に読むことで、時間管理から思考法、財務改善まで、経営者として必要な本質的スキルを体系的に学ぶことができます。特に「思考力のある経営者が圧勝する3つの理由」は、本記事の優先順位決定術をさらに深めるために最適です。

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