コロナ融資返済不安の解決策|リスケで消耗し続ける前に知るべきこと

2026.05.09

コロナ融資返済不安の解決策|リスケで消耗し続ける前に知るべきこと

2026年4〜9月、返済の最後のピークを前に——計画なきリスケが招く本当のリスク
📅 公開日:2026年5月8日

⚠️ 2026年4月〜9月:コロナ借換保証の返済開始、最後のピーク

東京商工リサーチの調査によると、コロナ借換保証30.1万件のうち約8割が2年以内の据置期間を設定しており、2026年4月から9月にかけて返済開始が最後のピークを迎えます。あなたの会社の返済は、計画で乗り越えられますか——それとも、再びリスケを重ねますか。

収益満開経営の長瀬好征です。経営コンサルタントとして、財務を軸に30社以上の中小企業の資金繰り改善・財務体質強化を支援してきました。

ある製造業の社長から相談を受けたのは、今から1年ほど前のことです。年商2億円、コロナ融資で3,000万円を借りた。据置期間が終わり、毎月150万円の返済が始まった。売上は戻ってきているのに、資金がどうしても足りない。「先生、もう一度リスケをお願いするしかないですかね」と、力なく言いました。

私はその場で試算表を広げ、「一度、月次の粗利から固定費を引いた実際の返済余力を出してみましょう」と提案しました。計算してみると、返済余力は月に約100万円。つまり毎月50万円の不足が生じている。しかしよく見ると、不必要な在庫が積み上がり運転資金を圧迫していることが判明しました。「リスケの前にやることがある」——この気づきが、その会社の転換点になりました。

二宮尊徳は「分度」という概念を説きました。身の丈に合った規模で堅実に運営し、そこから生まれた余力を「推譲」として次の成長に回す。コロナ融資という非常時の恩恵を受けた今こそ、この分度の再設定が求められています。リスケは「時間を買う手段」に過ぎません。その時間で何をするかが問題なのです。

この記事を読むことで、あなたは以下を得られます:

  • 2026年が「コロナ融資問題の最終局面」である理由と最新データ
  • 計画なきリスケが招く「消耗スパイラル」の正体
  • リスケ前に必ず確認すべき「返済余力の実態把握」3ステップ
  • 銀行が「経営再建の意志あり」と判断する唯一の条件
  • 30社以上の支援から得た、コロナ融資問題を「出口」まで導く考え方

リスケを繰り返すことは、問題の先送りです。しかし、適切な計画を伴うリスケは「経営再建の時間を買う正当な手段」になります。この違いを理解することが、2026年を生き抜く鍵です。

2026年が「最終局面」である理由——最新データが示す現実

ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の問題は、2026年において新たな段階を迎えています。東京商工リサーチの2026年3月調査によると、ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は2020年7月以降の累計で2,280件に達しました。月次では小康状態が続いているように見えますが、問題の本質はこれからです。

2,280件

ゼロゼロ融資利用後の倒産累計
(2026年2月時点・東京商工リサーチ)

30.1万件

コロナ借換保証の利用件数
約8割が2年以内の据置設定

2026年
4〜9月

返済開始の最後のピーク期間
この山を越えられるか

重要なのは、倒産件数が「小康状態」に見える背景です。返済に苦慮している企業の多くが、倒産を選ばずリスケを繰り返すことで数字に現れていない。東京商工リサーチは「リスケを繰り返し更新する企業もある」と明確に指摘しており、水面下で消耗し続けている会社が相当数存在することを示しています。

📌 2026年の構造的な問題

コロナ禍の支援策は「業績が戻れば返せる」という前提で設計されていました。しかし現実は、物価高・人件費上昇・エネルギー高騰という三重苦が返済原資の確保を阻んでいます。「売上は戻ったのにお金が残らない」という状況が、支援前より深刻になっているケースも珍しくありません。

計画なきリスケが招く「消耗スパイラル」

私が「消耗スパイラル」と呼ぶのは、次のような状態です。リスケで元金返済を止める→資金繰りが一時的に楽になる→根本的な収益改善に手が回らない→リスケ期間が終わると再び資金不足→また次のリスケを申請する。この繰り返しです。

リスケには致命的なコストが伴います。リスケ中は原則として新規の融資が受けられません。 つまり、設備更新・新商品開発・人材採用——成長のための投資がすべて止まります。売上が戻ってきているのに、次の成長への一手が打てない。この「静止状態」が数年続くと、じわじわと競争力が失われていきます。

「リスケ」と「借換保証」の決定的な違い

リスケ(返済猶予)は、元金の返済を一時的に止めることです。足元の資金繰りは楽になりますが、金融機関からの信用は著しく低下し、その後の新規借入がほぼ不可能になります。問題の先送りに過ぎません。

借換保証(条件変更改善型)は、リスケ中の企業でも申請可能な制度で、最長15年への返済期間延長・複数債権の一本化が可能です。ただし条件があります。「金融機関および認定経営革新等支援機関の支援を受けながら、自主的に事業計画を策定・実行し、進捗を報告できる企業」であることです。ここに計画の必要性があります。

前述の製造業の社長は、最初「リスケしかない」と思っていました。しかし試算表を丁寧に読み解いた結果、在庫圧縮で運転資金を約600万円解放でき、借換保証の申請に必要な事業計画を作成することで、リスケではなく「返済条件の改善」という形で問題を解決しました。リスケか否かの分岐点は、計画の有無だったのです。

リスケ前に確認すべき「返済余力の実態把握」3ステップ

「返済が苦しい」という感覚を、数字で確認することが最初の一手です。感覚ではなく数字を見ることで、初めて「本当にリスケが必要か」「他に手はないか」が判断できます。

1
月次の「実質的な返済余力」を計算する

月次の粗利益から固定費(人件費・家賃・リース料)を引いた「営業キャッシュフロー概算」が、毎月の返済額を上回っているかを確認します。上回っていれば理論上は返済可能です。下回っていれば、その差額分が「構造的な問題」であり、リスケより先に収益改善が必要です。利益と現金がなぜ一致しないかはこちらで解説しています。
2
「眠れる現金」を探す——在庫・売掛金の実態確認

資金不足の原因が「収益の低さ」ではなく「運転資金の増大」であるケースは少なくありません。売掛金の回収サイトが伸びていないか、動きの鈍い在庫が積み上がっていないか。ここに眠っている現金を解放できれば、リスケなしでも返済余力が生まれることがあります。経常運転資金の構造はこちらで詳しく解説しています。
3
6ヶ月先の資金繰り予測を数字で作る

リスケや借換保証を申請する際、金融機関が最初に見るのは「半年先の資金繰りの見通し」です。この予測が「感覚」でなく「数字」で示せるかどうかが、銀行交渉の成否を分けます。月商の1ヶ月分を下回るキャッシュしか手元にない場合、資金ショートのリスクが高い状態です。今すぐ予測を作成してください。

銀行が「経営再建の意志あり」と判断する唯一の条件

2026年以降、金融機関の対応は明確に変化しています。金融行政方針2025で示された通り、銀行は「貸すべき会社」と「支援を続けるべきでない会社」の選別を進めています。「困ったからリスケをお願いします」だけでは、以前のように通りません。

東京商工リサーチのレポートには、こんな記述があります。「金融機関は、経営再建へ取り組む意欲を示す企業には中小企業診断士などの専門家を派遣し、事業再生を支援する動きもあるが、大半は自助努力を求められている」。つまり、銀行が動くのは、経営者が自ら動いている会社だけです。

銀行が評価する「意志の証明」とは

①具体的な数字を伴った事業計画
「今年12月までに月商○○万円に回復する」という数値目標と、そのための販促計画・コスト削減計画がセットで示せること。

②半年ごとの進捗報告の約束
借換保証や条件変更の要件として、3〜6ヶ月ごとの進捗報告が求められます。「報告できる体制がある」こと自体が、信頼の証明になります。

③外部専門家との連携
中小企業活性化協議会・中小企業診断士・財務コンサルタントとの連携は、「一人でなく専門家と取り組んでいる」という姿勢を示します。計画の質も上がります。

2027年3月末が事実上のタイムリミット——今すぐ動く理由

中小企業庁は、経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)制度を2027年3月31日まで延長しました。これが、過剰債務を抱えた中小企業に対する事実上の最後の公的セーフティネットです。

この制度は、リスケ中の企業も対象となる「条件変更改善型借換保証」を含み、最大2億8,000万円・最長15年の借換えが可能です。しかし、申請には経営改善計画の策定と、認定支援機関との連携が必要です。計画を作るには時間がかかります。

⚠️ 「待てば何とかなる」は通じない理由

2027年3月以降、次の公的支援制度がどうなるかは現時点では未定です。国の方針は「できる会社だけを救う」方向に明確にシフトしています。企業価値担保権の本格導入も2026年5月から始まり、銀行の融資判断基準は根本から変わりつつあります。「様子を見る」ことが最もリスクの高い選択肢になっています。

二宮尊徳の「分度」から考える、コロナ融資問題の出口

二宮尊徳が農村復興に用いた「分度」とは、その村の本来の生産力を正確に計測し、その範囲内で生活を立て直すことです。コロナ融資という「外部からの資金注入」によって、多くの企業は「本来の自社の返済能力」を超えた債務を抱えることになりました。

今必要なのは、「本来の自社の返済余力」を正直に計算し、それに見合った返済計画を立て直すことです。身の丈を超えた無理な返済を続けることは、尊徳の言う「分度」を無視することであり、そこから生まれる余力は何もありません。

「推譲」——余力から次への種を蒔く。この余力は、リスケで時間を買うことで生まれる場合もあります。しかしその時間を、計画を立てることに使わなければ、リスケは消耗の先送りに終わります。コロナ融資問題の本質的な出口は、「計画を持った再生」にあります。

📌 まとめ:今すぐ取るべき3つのアクション

  • 今週中に月次の返済余力(粗利−固定費−返済額)を計算する
  • 今月中に6ヶ月先の資金繰り表を数字で作成し、メインバンクへ相談する
  • 2027年3月31日までに経営改善計画を策定し、借換保証・条件変更の申請を完了させる

❓ よくあるご質問

Q. リスケすると新規融資は本当に受けられなくなりますか?

A. 原則として、リスケ中は金融機関からの新規融資はほぼ受けられません。ただし、経営改善計画を策定し認定支援機関と連携している場合は、「条件変更改善型借換保証」を通じた借換えが可能なケースがあります。リスケ前に専門家に相談することを強くお勧めします。

Q. 2026年4月〜9月のピークを乗り越えれば大丈夫ですか?

A. ピークを乗り越えることより、根本的な返済余力を確保することが重要です。ピーク後も物価高・人件費上昇は続きます。「乗り越えた」という安心感が、次の準備を遅らせることの方が危険です。

Q. 経営改善計画はどこで作れますか?

A. 中小企業活性化協議会(各都道府県設置の公的機関)への相談が無料でできます。また、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)である税理士・中小企業診断士・財務コンサルタントとの連携が条件となる制度もあります。まず顧問税理士に相談し、対応できない場合は公的機関へつないでもらうのが現実的です。

📝 執筆について:本稿は長瀬好征の実務経験・支援事例をもとに、AIを構成・編集のパートナーとして活用し作成しました。事例・数値・判断はすべて長瀬の実際のコンサルティング現場に基づくものです。

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合同会社エバーグリーン経営研究所

経営コンサルタント 長瀬好征

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