「うちにはいい人材がいなくてね〜」
この一言が出たら、その会社は経営危険水域に入っています。
「優秀な人材がいない」と嘆く前に、その人材を活かせる組織になっているかを問うべきである
— 経営が上手くいかない会社に共通する思考パターンの根底にあるもの
財務コンサルタントとして多くの経営者とお話しする中で、経営が上手くいっていない
会社から必ずと言っていいほど出てくる発言があります。
それが「うちにはいい人材がいなくてね〜」という言葉です。
一つでも当てはまる場合は、経営の根本的な問題を抱えている可能性があります。
「財務のコンサルタントなのに人の話?」と思われるかもしれません。
確かに、私は財務コンサルタントで、人事に関するコンサルティングはしていませんし、
そこができるなどと思っていません。
よく言われるように、経営の3要素とは「ヒト」「モノ」「カネ」です。
私のコンサルティングでは「お金」の話がメインになりますが、時々勘違いされているのは、
財務コンサルタントは資金調達屋ではないということです。
むしろ、新規の資金調達には抑制的な態度で基本的には望みます。な
ぜなら、殆どの中小零細企業が「借り過ぎ」なのですから。
では、お金をどこに使うのか?その効果はどの程度なのか?ということを明らかにして
いく過程で、必然的にヒトかモノの話になります。
そして、ヒトの話になるときに「誰に」ということを聞いていくのですが、その時に
冒頭の言葉が出てくるのです。
多くの場合、私はそこで社長に対して、強い言葉ではいいませんが、次のことを示唆
するようにしています:
※本当は強く言った方がいいのですが、コンサルティングが進まなくなってしまうので…
また、だからといって「いい人を取りましょう」というつもりもありません。
現在の日本において人を採用するのは、コストの問題だけでなく、法的・社会的なリスクが
物凄くあります。
安易な採用は会社を苦しめるだけです。
❌ 危険な採用思考
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✅ 計画的人材活用
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でも、人がいないと売上が上がりませんよね?
結局は、社長に「目標がない」「計画がない」のです。
財務コンサルタント的にいうと、「明確な経営目標の設定」(これもよく誤解されていま
すが、願望ではありません)がないのです。
そして、次のような「要員計画」が存在しません:
つまり、そういう言葉をつい発する社長には、「いい人が来て、自分が何も指示しなく
ても、売上と利益が上がればいいなあ…」という願望があるだけで、経営者が本来やる
べきことを棚に上げ、きつい言葉でいうと甘えがあるだけなのです。
そういう会社の経営が上手くいくはずがないのです。
優秀な人材は結果であって、原因ではありません。
優秀な人材を引き寄せ、活かせる組織づくりこそが経営者の責務です。
重要:この段階的なプロセスを一人で進めるのは困難です。
専門家のサポートを受けることをお勧めします。
「うちにはいい人材がいない」という発言は、実は人材の問題ではなく、
経営者自身の計画性の欠如を示すサインです。
優秀な人材を求める前に、まずその人材を活かせる組織と仕組みを構築す
ることが先決です。
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