【残念ながら、中小企業の実務では使えないのが難点】『会計HACKS!』 オススメ度 ★★☆☆☆
2021.02.03
【残念ながら、中小企業の実務では使えないのが難点】
『会計HACKS!』 オススメ度 ★★☆☆☆
小山龍介・山田真哉/東洋経済新報社
有名人2人による共著です。
小山龍介さんは「HACKS!」シリーズを書いてますね。僕の個人的な話としては、小山さんが松竹のプロデューサー時代に新商品開発に関する講義を事務局のメンバーとして聴いたことでしょうか。
山田さんは『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』で一躍有名になった公認会計士の方ですね。
さて、オススメ度は低いのですが、実は会計の考え方を知るという面では全体的にはいい本です。また本書の基本的スタンスは現在トレンドの動態論です。
冒頭の2人の対談にある通り、本質が問われる時代になったいま(この本の出版当時は2010年ですが)「感情」だけではだめで「勘定」とのバランスを取る必要があるというのは、正に同感です。
日常生活・ビジネスに会計的思考を、というのも頷けます。
ただ、僕の立場からは、252ページのうちのたった4ページのために、評価をかなり下げざるをえません。
企業分析指標よりもキャッシュフローを重視せよ!というのは分かりますし、指標を絶対視するのは間違っているというのは同意できます。
しかし、「自己資本比率」を机上の空論といってしまうのは、現実の中小企業の財務をまるで無視しています。
また、「労働分配率は1円も生まない無駄指標」といいきるのは、「この人中小企業の現場をみたことないだろう?」としか思えないです。
でも政府の民間委員や企業のCFOやっているんですね。
なので、あくまで、上場企業のサラリーマンとかが会計的な考え方を知るという意味で有益な本にとどまります。