人件費についての考え方が会社の将来を決める

2023.03.02

今回のテーマは人件費についてです。
帝国データバンクの
「人手不足に対する企業動向調査」(2023年1月版)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230207.html
によると、
5か月連続で正社員で50%を超える会社が人手不足を感じている
とのことです。

そして、事業計画作成のコンサルをしているときにする問いか
けがあります。

それは、
「今後人件費はどうしますか?」です。

これは結構重要な問いかけなのです。
ちなみに、敢えてアバウトな形にしています。

それはなぜかというと、これに対する返答で社長の人件費に対
する考え方が分かるからです。

最近あった例を紹介します。

長瀬:「社長、売上と利益を上げるとおっしゃっりましたが、
人は増やさなくていいのですか?」
社長:「1人増やす予定です。」
長瀬:「どういう人でいくらぐらで考えていますか?」
社長:「400万円ぐらいで、営業ができる人を」
長瀬:「どのくらい営業ができる人ですか?」
社長:「即戦力になれる業界経験がある人かなぁ」
長瀬:「そのような人が400万円で採用できますか?」
社長:「・・・」

まあ、分かりやすい例なので、実際はもう少しやり取りがあ
るのですが。

そして、聴きたいのは、金額がいくらかとかではなく、社長
の考えなのです。

つまり、人件費を「コストとして考えているのか?」
それとも「投資として考えているのか?」ということです。

人件費を今の能力、現在の会社の金額で考えると殆ど
のケースで、相場よりも低い金額になります。
理由は色々あるのですが・・・、

財務の面からいうと、会社の売上と利益の状況から、
仕事に対する対価として評価すると、中小零細企業に
おいては、低くならざる負えないからでしょう。

ただ、売上と利益を上げていこうとすると、今のスキ
ルでは対応できない訳です。
対応できるのなら、売上と利益はすでに上がっていま
すから。

なので、売上と利益を上げるために必要なスキルを身に
つける成長・発展に対して、支払っていくことが、どう
しても必要になります。

しかし、人件費=コストと考えていると、そこにお金を
かけていくことができないのです。
そうすると、成長しない、育たない人しか会社に残って
いかないのです。

世の中は帝国データバンクにある通り、人手不足が慢性的
な状況で「安くて良い人」を取ることはできないのです。

ところが、業績の悪い状況が続く社長ほど、「安くて
あれもこれもできる人」というのを望んでいます。

外部環境の評価が適切にできていないから起こることなの
ですが、結局は計画性がなく思いつきでやっているから
こうなるのです。

人件費の見方一つでも今後どうなるかということを
感じることができます。
特に、人がいないこの時代だからこそ、社長の人件費に対
する考え方が会社の将来を決めるといえるのです。