財務コンサルタントの長瀬 好征です。
今回は財務に関するよくある勘違いについて書きます。
その1回目です。
売上を伸ばすことの意味です。
殆どの社長は、「売上をどう伸ばすか?」「どうやって伸ばすか?」
ということを日々考えていると思います。
では、尋ねますが、売上を伸ばすとどうなるのですか?
どうなるというと分かりにくければ、どう変化するのでしょうか?
個人事業主の方は損益計算書を必ずしも作成していないでしょうか
ら、収入が増えるという感覚があると思います。
それ自体は間違いであるとは言いません。
ただ、僕が話す「財務」というのは組織がある法人を対象にしてい
ということをまずは前提にしてください。
さて、話をもどします。
コンサルティングの初回に、社長に「どうしたいですか?」と尋ねると
決まってでてくるのが、「売上を上げたい」です。
ここで、僕は「本当ですか?」ともう一度確認するのですが、その
際、社長はキョトンとしています。
「当たり前じゃないか、売上が上がれば利益も増えて会社も良くなる
に決まっている、そんな当然のことを質問するの?」という顔をして
います。
つまり、多くの社長が、売上UP = 利益UP という風に考えてい
るということです。
本当でしょうか?
簡単な例で考えてみましょう。
売上 1億円 売上総利益 3000万円 販売管理費 3000万円 営業利益 0円
その際、これではいけないと考えた社長は、利益を増やすために売上を増やそうと
して、営業パーソンにとにかく売れと言いました。
営業マンは、残業をいとわず必死に電話してアポイントをとり、車で営業をして、
売上を1000万円上げました。ただ、残業代300万円、交通費 200万円、通信費
100万円かかりました。
売上 1億1千万円 販売管理費3600万円
では営業利益はどうなるでしょうか?
原価率は70%なので、700万円が原価です。売上総利益は、3300万円。
営業利益は、▲100万円。
売上を伸ばすことで、赤字に転落しました。
なぜことのようになるのでしょうか?
利益=売上 ー 経費 じゃないのでしょうか。
必ずしもそうではないのです。
多くの人が経費というと販管費だけを考えて、「原価」の存在がいつのまにか抜
けているのです。
そんなことはないだろうと思いますが、こんなことが日本全国の中小企業で起こっ
ているのです。
今回の話
販管費だけでなく、原価を意識しましょう。