黒字なのにお金が残らない理由とは?
財務の誤解を徹底解明
黒字なのにお金が残らないという悩みを抱える社長は99%。財務コンサルタントの長瀬好征です。
前回までは売上に関するよくある勘違いについて書いてきました。社長さんと話していると、売上についての誤解はまだまだありますが、それと同じくらい利益についても誤解していることが沢山あります。
まず、その中の一つである「黒字」について今回は書いていきます。
目次
なぜ黒字でもお金が残らないのか?
黒字になるとお金は増えているのでしょうか?
ここで言うお金が増えるというのは、期首と期末との比較においてということです。
どうでしょうか?
社長さんと話していると、
売上ー経費=利益だから黒字、つまり利益がでればお金が増えていると、よく思っています。
本当にそうでしょうか?
黒字なのにお金が残らない会社の特徴
多くの経営者が陥る典型的なパターンがあります:
よくある勘違いパターン
- 売上志向:「売上を上げればお金が増える」という思考
- 利益至上主義:「黒字なら安心」という錯覚
- 現金軽視:実際のキャッシュフローを見ていない
- 在庫過多:「売れるかもしれない」で在庫を抱え込む
極端な例で理解する売上原価の仕組み
小売のお店を開きました。ここでも理解しやすいように売上総利益だけで「利益」を考えていきます。消費税も無視します。
品揃えを充実させるために500万円かけて仕入をしました。理解しやすいように10%利益をのっけたしましょう。
1年での売上は220万円でした。仕入原価は200万円になりますね。
さて、売上総利益はどうなるでしょうか?
直感的には赤字ですよね。
そうなるでしょうか?
実際の計算結果:
売上高 220万円
売上原価 期首棚卸資産 0円
当期商品仕入 500万円
期末棚卸資産 ▲300万円 200万円
売上総利益 20万円
販管費が20万円以下なら営業利益も黒字になりますね。
利益はお金が増えたということを意味しません。
単に、計算上で利益がでているのか?ということを意味するだけです。
前回も書きましたが、この原価に対する知識不足が感覚と損益計算書とのズレを引き起こします。
言い換えると、仕入れがある会社で黒字の会社を作ることはそんなに難しいことではありません。
在庫を一杯持てば売上原価を少なくすることができますから、黒字になりやすいのです。
在庫については、また別の機会に書くとして、今回言いたかったのは、
黒字になってもお金が増えている訳ではない
お金が残らない問題の根本的解決策
中小企業の経営においては、売上、黒字に拘るよりは「キャッシュ」に拘る方が適切な経営管理ができます。
しかし、殆どの社長は資金繰りに拘るよりも、売上、黒字に殆どの場合拘っています。
もちろん、売上、黒字に拘ることがいけないことだと言うつもりはありません。
ただ、会社を継続するという観点からは「キャッシュ」に拘る方が上手くいきやすいです。
多くの社長が「黒字なのになぜかお金が残らない」とお悩みになる理由がここにあります。これは決して珍しいことではありません。むしろ、成長している会社ほどこの現象に直面しやすいのです。
成長企業が陥りやすい罠
売上が伸びる → 売掛金が増える → 在庫も増える → 運転資金が必要になる → 資金繰りが苦しくなる
この構造を理解せずに「売上アップ」だけを追いかけると、かえって資金繰りが悪化することがあります。
具体的な改善策
では、どうすれば良いのでしょうか?
1. 経常運転資金の管理
売掛金・在庫・買掛金の適切な管理により、必要な運転資金を最小化する
2. キャッシュフロー計算書の活用
利益だけでなく、実際のお金の流れを把握する
3. 月次資金繰り表の作成
3か月先、6か月先の資金繰りを予測して早めの対策を打つ
近江商人の「しまつ」の精神
近江商人は「しまつ」を大切にしました。これは、売掛金の回収、不良在庫の処分など、一つ一つの経営課題にきちんと決着をつけることです。
現代の経営でも、感情に流されず、数字に基づいた冷静な判断で「しまつ」をつけることが、長期的な事業継続につながります。
具体的な改善事例と成功パターン
実際の改善事例
製造業A社(年商3億円)の場合
- 問題:月商成長68%でも資金繰り悪化
- 原因:売掛金回収期間の延長と在庫増加
- 解決策:売掛金管理の徹底と適正在庫の実現
- 結果:3か月で資金繰り正常化
小売業B社(年商1.5億円)の場合
- 問題:黒字なのに借入金が増え続ける
- 原因:季節商品の過剰仕入れ
- 解決策:データ分析による需要予測精度向上
- 結果:在庫回転率200%改善
よくある質問と専門家の回答
Q1. 黒字なのに資金繰りが苦しい時、まず何をすべきですか?
A. 経常運転資金の分析から始めてください。売掛金・在庫・買掛金の状況を正確に把握し、どこに問題があるかを特定することが最優先です。
Q2. 在庫を減らすと売り逃しが心配です。どう判断すべきでしょうか?
A. 過去3年間の販売データを分析し、実際の回転率を算出してください。感情ではなく数字に基づいた適正在庫を設定することが重要です。
Q3. 売掛金の回収を早めたいが、お客様との関係が心配です。
A. 近江商人の「しまつ」の精神で、約束したお金はきちんと受け取るのが商売の筋道です。これは相互の信頼関係を深める行為でもあります。
実践的チェックリスト
毎月チェックすべき項目
- □ 売掛金の回収状況(期限を過ぎた案件はないか)
- □ 在庫の回転率(3か月以上動かない商品はないか)
- □ 買掛金の支払条件(改善交渉の余地はないか)
- □ 3か月先の資金繰り予測(問題はないか)
- □ 利益とキャッシュフローの差額(拡大していないか)
緊急対応が必要な兆候
- □ 売上が伸びているのに手元資金が減っている
- □ 利益率は良いのに借入が増えている
- □ 在庫金額が売上の3か月分を超えている
- □ 売掛金の回収期間が長期化している
まとめ:真の経営改革へ
黒字とキャッシュの違いを理解することは、財務の基本中の基本です。しかし、この基本を正しく理解している社長は驚くほど少ないのが現実です。
収益満開経営の視点
桜の花のように自然で持続的な繁栄を目指すには、無理な成長よりも、健全なキャッシュフローを重視することが大切です。
古典の叡智と現代の財務理論を融合させ、2200年の日本繁栄を目指しましょう。
著者プロフィール
長瀬好征 – 財務コンサルタント
「和魂洋才」による日本企業の持続的繁栄を支援。陽明学発祥の地・岡山で培った東洋的叡智と現代財務理論を融合し、失われた30年を終わらせるための経営変革をサポートしています。
渋沢栄一の「論語とそろばん」、二宮尊徳の「道徳経済合一説」、近江商人の「三方よし」の精神を現代経営に活かした「収益満開経営」を提唱。
次のステップ:今すぐできる改善行動
- 現状把握:直近3か月の売掛金・在庫・買掛金をリストアップ
- 問題特定:上記チェックリストで課題を明確化
- 優先順位設定:最も資金繰りに影響する項目から改善着手
- 専門家相談:複雑な問題は財務の専門家に相談
「黒字なのにお金が残らない」問題は、正しい知識と継続的な改善で必ず解決できます。
収益満開経営で持続的繁栄を実現しませんか?
「黒字なのにお金が残らない」とお悩みの経営者の皆様へ
古典の叡智と現代財務理論を融合した「収益満開経営」で、
真の経営改革を実現しましょう。
合同会社エバーグリーン経営研究所
代表:長瀬好征(財務コンサルタント)
理念:「和魂洋才」による日本企業の持続的繁栄支援
使命:古典の叡智と現代経営理論の融合で、2200年の日本に繁栄を残す
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