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在庫圧縮で資金繰りを改善する7つの手法|「減らすと決めたのに進まない」を防ぐ実行段取り

在庫圧縮で資金繰りを改善する7つの手法|「減らすと決めたのに進まない」を防ぐ実行段取り「決めたのに進まない」を防ぐ、在庫圧縮の実行段取りとリスク管理 📅 更新日:2026年10月3日 ✍️ 経営コンサルタント 長瀬好征 中小零細企業の倉庫に眠る「お金の塊」をご […]

在庫圧縮で資金繰りを改善する7つの手法
「減らすと決めたのに進まない」を防ぐ実行段取り

在庫を「何日分」で測り、誰が・いつまでに・何を判断するかを決める【資金繰り改善の手法 その2】
🗓️ 公開日:2024年5月3日|更新日:2026年10月3日

「在庫を減らそう」と社長が決めた。それなのに、半年たっても倉庫の中身はほとんど変わっていない——そんな経験はありませんか?

結論から申し上げます。在庫圧縮が進まない原因は、手法を知らないことではなく、「何日分まで減らすか」という目標と、「誰が・いつまでに・何を判断するか」という段取りが決まっていないことにあります。

この記事では、在庫を「何日分」という物差しで測って資金の効果を計算する方法と、7つの手法を実行に移すための役割分担、品切れを防ぐためのルールを、具体的にお伝えします。

私は財務を軸とした経営コンサルタントとして、30社以上の資金繰り改善を支援してきました。在庫を抱える会社でよく見るのは、「在庫を減らそう」と社長が決断しても、半年後に在庫の水準がほとんど変わっていないケースです。話をうかがうと、手法を知らないのではありませんでした。目標の数字がなく、誰がどの商品を減らす判断をするのかが決まっていなかったのです。

この記事を読むことで、あなたは以下を得られます。

  • 在庫を減らすと、いくらの資金が生まれるかの計算方法
  • 在庫を「何日分」で測り、目標を決める方法
  • 「減らすと決めたのに進まない」3つの理由
  • 7つの手法の「誰が・いつまでに・最初の一歩」の一覧
  • 品切れを防ぐために事前に決めておくルール

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📋 目次

在庫を減らすと、なぜ資金繰りが良くなるのか?

在庫は「まだ売れていない商品」である前に、「仕入代金を先に払って寝かせているお金」だからです。在庫を減らせば、その分のお金が手元に戻ります。

決算書の上では、在庫は「棚卸資産」として資産に計上されます。しかし資金繰りの目で見れば、在庫は仕入先への支払いがすでに済んでいる(または済む予定の)お金が、商品の形に変わって倉庫に眠っている状態です。在庫が多いほど、会社は多くのお金を立て替えていることになります。

① 資金が戻る:減らした在庫の分だけ、仕入に回していたお金が手元に残ります。借入を減らしたり、ほかの支払いに充てたりできます。
② 持つためのコストが減る:倉庫の賃料、管理の手間、保険、そして売れ残って値引きや廃棄になる損失が減ります。在庫のために借りているお金があれば、その利息も減ります。
③ 身軽になる:売れ筋が変わったときに、古い在庫に縛られずに新しい商品へ切り替えられます。

在庫を減らすと、いくらのお金が戻るのか。次の章の「在庫日数」を使うと、具体的に計算できます。

自社の在庫は「何日分」あれば足りるのか?

「仕入れてから次の仕入れが届くまでの日数」に、品切れを防ぐための余裕を加えた日数が目安です。まず今の在庫が「何日分」あるかを計算し、目標の日数と比べてください。

在庫日数は、次の式で計算できます。

在庫日数 = 在庫の金額 ÷(年間の売上原価 ÷ 365日)

「今の在庫で、あと何日分の出荷をまかなえるか」を表します

たとえば、年間の売上原価が2億4,000万円(1日あたり約66万円)で、在庫が6,000万円ある会社なら、在庫日数は約91日、つまり約3か月分です。

在庫日数の目標在庫の金額戻る資金利息の軽減(借入金利2%の場合)
現状:約91日(約3か月分)6,000万円――
約76日(約2.5か月分)5,000万円1,000万円年約20万円
約61日(約2か月分)4,000万円2,000万円年約40万円

在庫日数を3か月分から2か月分に減らせば、2,000万円の資金が戻ります。その分の借入を返せば、金利2%なら年に約40万円の利息が減り、倉庫代や廃棄の損失も小さくなります。

目標の日数は、商品ごとに違って構いません。仕入先から届くまでの日数(リードタイム)が短く、毎月安定して売れる商品は少ない日数で回せます。反対に、リードタイムが長い輸入品や、季節で売れ方が大きく変わる商品は、余裕をもった日数が必要です。「会社全体で何日分」ではなく、「この商品は何日分」と決めることが、品切れを起こさずに減らすかぎになります。

在庫・売掛金・その他の資産のうち、どこから手をつけるべきかの判断は、こちらで解説しています。
📖 棚卸資産圧縮の優先順位|あなたの会社は何から始めるべきか?【自己診断ガイド】 →

なぜ「在庫を減らす」と決めても進まないのか?

「品切れが起きたら誰の責任か」という不安、「誰が判断するのか」の不明確さ、そして「もったいない」という気持ちの3つが、実行を止めるからです。支援の現場で見てきた停滞は、ほとんどがこのどれかに当てはまります。

⚠️ 在庫圧縮が止まる3つの理由

理由1:品切れへの不安
「減らして欠品したら、お客様に迷惑をかける」「品切れの責任を負わされたくない」。この不安があると、担当者は安全のために多めに発注し続けます。在庫を減らす決定は、品切れのリスクと常に隣り合わせです。

理由2:判断する人が決まっていない
「在庫を減らせ」という号令だけで、どの商品を、何日分まで、誰の判断で減らすかが決まっていない。結局、誰も最初の一歩を踏み出しません。

理由3:「もったいない」という気持ち
長く動いていない在庫を値下げや廃棄で処分すると、損失が目に見える形で確定します。それを避けたくて「いつか売れるかもしれない」と持ち続け、お金が寝たままになります。

3つとも、社員のやる気や能力の問題ではありません。判断の基準と責任の範囲を、社長が先に決めていないことから生まれる問題です。だからこそ、次の章の7つの手法は、「何をするか」だけでなく「誰が・いつまでに判断するか」とセットで実行します。

在庫を手放せない心理の仕組みについては、こちらで詳しく掘り下げています。
📖 在庫管理の心理的盲点4つの改善策|倉庫に1万円札を積んでいませんか? →

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在庫圧縮の7つの手法を、どう実行に移すか?

7つの手法それぞれに「誰が」「いつまでに」「最初の一歩は何か」を決めて、一つずつ動かすことです。一度にすべてを始めるのではなく、上から順に段階的に進めます。

手法誰がいつまでに最初の一歩
1. 需要予測の精度を上げる
過去の販売実績と季節の変動から、商品ごとの出荷の見込みを立てます。
営業責任者毎月初め前月の予測と実績のずれを、商品ごとに一覧にする
2. ABC分析で重点を決める
売上への貢献度で商品をA・B・Cに分け、管理の細かさを変えます。
営業・製造の責任者最初の1か月売上上位の商品から順に、A・B・Cのランクをつける
3. 商品ごとに適正な在庫日数を決める
リードタイムと売れ方の安定度から、商品ごとの目標の日数と発注点を決めます。
購買担当+社長の承認2か月目までAランク商品の目標在庫日数と発注点を決める
4. 仕入先と発注の条件を見直す
小ロット・多頻度の発注や、リードタイムの短縮を仕入先に相談します。
社長または役員3か月目まで主要仕入先に、在庫を減らす方針を直接説明する
5. 実地棚卸を定期化する
帳簿と実際の在庫のずれを、月次または四半期ごとに確かめます。
経理+倉庫責任者毎月末棚卸の日と担当者をカレンダーに固定する
6. 滞留在庫を計画的に処分する
一定期間動きのない商品を特定し、値下げ・返品・廃棄の基準を決めて処分します。
社長(基準)+営業(実行)四半期ごと「○か月動きがなければ処分を検討」という基準を文書にする
7. 在庫の数字を見える化する
在庫日数や滞留在庫の推移を、毎月の会議で確認できる形にします。
経理毎月の会議全体と商品別の在庫日数を、毎月の会議資料に1枚加える

ポイントは、手法2のランク分けを、経理担当者ではなく現場を知る営業・製造の責任者に任せることです。数字だけでは見えない「この商品は大口の得意先が必ず使う」といった事情を知っているのは現場だからです。一方で、手法3の目標日数と手法6の処分の基準は、社長が承認・決定します。基準を社長が決めておくことで、現場は「責任を負わされる」不安なく動けるようになります。

ABC分析と月次棚卸の具体的なやり方は、次の記事で詳しく解説しています。

品切れを防ぎながら減らすには、何を決めておくべきか?

「品切れが起きたときに誰が判断し、誰が緊急発注できるか」を、在庫を減らし始める前に決めておくことです。このルールがあるだけで、現場の不安は大きく和らぎます。

✅ 在庫を減らす前に決めておく5つのルール

  1. 段階的に減らす:目標の日数まで一気に減らさず、1か月ごとに少しずつ下げて、品切れが起きないかを確かめる
  2. 緊急発注の権限:品切れの恐れが出たとき、誰が社長の承認なしに緊急発注してよいかを決める
  3. 品切れの扱い:ルールどおりに減らして起きた品切れは、担当者の責任にしないと明言する
  4. 例外の商品:季節商品、特注品、大口得意先の専用品は、別の目標日数にする
  5. 得意先への説明:納期が変わる可能性がある場合は、主要な得意先に前もって説明しておく

とくに3つ目は、社長にしか言えない約束です。「ルールに沿った結果なら責任は問わない。品切れが起きたら、ルールのほうを見直す」——こう伝えるだけで、多めに発注して身を守る行動は減っていきます。在庫圧縮は在庫の問題である以上に、社内の判断のしくみの問題なのです。

在庫圧縮で浮いたお金は、何に使うべきか?

まず資金繰りの余裕(いざというときの手元資金)を厚くし、そのうえで借入の返済か、売上を生む投資かを判断します。浮いたお金を、別の在庫や使い道のはっきりしない支出に回してしまっては意味がありません。

💡 浮いた資金の使い道を決める順番

  1. 手元資金の余裕を確保する:月の支払いが重なる時期でも資金が足りなくならない水準まで、預金を厚くする
  2. 金利の高い借入から返す:余裕を確保したうえで、利息の負担が大きい借入を減らす
  3. 売上を生む投資に回す:回収の見通しが立つ設備投資や販売の強化に使う

在庫圧縮の効果を、貸借対照表の「棚卸資産が減った」という結果だけで終わらせず、「戻ったお金をどう使って会社を強くしたか」まで追いかける。数字を記録するだけでなく、経営の判断に使うところまで進めるのが、収益満開経営の考え方です。

💬 「税理士にも銀行にも相談したが……」という社長へ

税理士は在庫の金額を正しく決算書に載せ、銀行は在庫が多すぎないかを見てくれます。しかし、どの商品を何日分まで減らし、浮いたお金をどう使うかを社長と一緒に決めるのは、どちらの本来の役割でもありません。自社の在庫を「何日分」で測り、判断の基準を決める力は、社長自身が持つ必要があります。

明日から、何から始めればよいか?

まず会社全体の在庫日数を計算し、売上の大きい商品から目標の日数を決めることです。それだけで、在庫圧縮は「号令」から「計画」に変わります。

📝 在庫圧縮の90日実行計画

  1. 最初の30日:会社全体と売上上位10商品の在庫日数を計算し、ABCのランクをつける
  2. 31〜60日:Aランク商品の目標在庫日数と発注点を決め、品切れ時のルールを社内に伝える
  3. 61〜90日:主要仕入先に方針を説明し、滞留在庫の処分基準を文書にして実行する

まとめ:在庫圧縮は「何日分」と「誰が」で進む

在庫は、仕入代金を先に払って寝かせているお金です。在庫日数を3か月分から2か月分に減らせば、年間の売上原価が2億4,000万円の会社なら2,000万円の資金が戻ります。

在庫圧縮が進まないのは、品切れへの不安、判断する人の不在、「もったいない」という気持ちのためです。商品ごとに目標の日数を決め、7つの手法に「誰が・いつまでに」を割り当て、品切れ時のルールを社長が先に約束する。この段取りが、決めたことを実行に移す力になります。

そして戻ったお金を、資金の余裕、借入の返済、売上を生む投資の順に使う。在庫圧縮を、会社を強くする一連の判断として最後までやり切ることが大切です。

❓ よくある質問

Q. 在庫を減らすと、どれくらい資金繰りが良くなりますか?

在庫日数で計算できます。年間の売上原価が2億4,000万円で在庫が6,000万円(約3か月分)の会社が、在庫を2か月分の4,000万円に減らせば、2,000万円の資金が手元に戻ります。その分の借入を返せば、金利2%なら年に約40万円の利息も減ります。

Q. 適正な在庫の量は、どう決めればよいですか?

商品ごとに、仕入先から届くまでの日数(リードタイム)に品切れを防ぐための余裕を加えた日数を目安に決めます。リードタイムが短く売れ方が安定した商品は少なく、輸入品や季節商品は多めにします。会社全体ではなく、商品ごとに目標の在庫日数を決めることが大切です。

Q. 在庫を減らすと決めたのに、なかなか進まないのはなぜですか?

品切れへの不安、誰が判断するのかの不明確さ、「もったいない」という気持ちの3つが主な理由です。どれも社員の能力の問題ではなく、判断の基準と責任の範囲を社長が先に決めていないことから生まれます。手法ごとに「誰が・いつまでに」を決めて動かすことが必要です。

Q. 在庫を減らして品切れが起きるのが心配です。どうすればよいですか?

在庫を減らし始める前に、品切れ時のルールを決めておきます。一気に減らさず段階的に下げる、緊急発注の権限を決める、ルールどおりに減らして起きた品切れは担当者の責任にしない、季節商品や特注品は別の目標にする、主要な得意先に前もって説明する、の5つが基本です。

Q. 在庫圧縮で浮いたお金は、何に使うべきですか?

まず支払いが重なる時期でも足りなくならない水準まで手元資金を厚くし、次に金利の高い借入を返し、そのうえで回収の見通しが立つ投資に回す順番がお勧めです。資金繰りの現状確認には、メルマガ登録特典の「資金繰りチェックシート」もご活用ください。

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経営コンサルタント 長瀬好征

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