中小零細企業の社長が悩んでいるのが、「お金」のこと、要は資金繰りだと思います。
現場で財務改善を支援している財務コンサルタントが、
引き続き資金繰りを改善する手法を伝えていきます。
24 銀行借入の交渉
資金繰りを改善するための手段の1つとして、銀行から新たに資金を借り入れることがあ
ります。
これまで紹介したとおり資金繰り改善の手法は様々あるのですが、日本の中小零細企業の
社長は、資金繰り改善イコール銀行からの新規借入という頭になっています。
このような社長が「資金繰り改善=銀行からの新規借入」と考えがちな背景には、以下のよう
な点が考えられます。
しかし、この考え方には以下のようなデメリットがあります。
そして、銀行借入への過度な依存がもたらすデメリットについてさらに詳しく説明します。
つまり、過度の銀行借入依存は、リスクの増大、経営の自由度低下、成長機会の喪失など、様々な側面で
企業経営を硬直化させる恐れがあるのです。
特に、瀬戸際の時に銀行からの支援が打ち切られる。
これを晴れた時に傘を貸して雨の日に取り上げると言われますが、そもそもそのように考えていること
自体が問題です。
それは、「銀行は助けてくれる所」と社長が思い込んでいるから出てくる発想にすぎません。
そもそも、銀行と企業の利害関係は違います。銀行は自行の利益を最優先し、経営改善よりも債権回収を
優先する傾向にあります。企業の利益を第一に考えてはくれない可能性が高いということです。
また、銀行は企業の実態を完全には把握できないため、リスクを過剰に恐れ、いざというときにこそ支援
を渋る可能性があります。
そして、 銀行は組織であるため、意思決定には時間がかかり、緊急の資金需要に対して迅速な対応は期待
できません。
心理的な面からいうとモラルハザードの問題があります。「銀行が助けてくれる」と考えることで、経営者
自身が努力を怠るモラルハザードに陥るリスクがあります。
また、安易に銀行からの借入に頼ることは、代替手段検討の怠慢 銀行借入以外の資金調達手段(増資、
ベンチャーキャピタル等)を軽視してしまいかねません。
つまり、銀行頼みの考え方は、現実的ではなく、かえって企業の経営リスクを高める可能性があるのです。
経営者自らが主体的に、抜本的な経営改善策と、多角的な資金調達策を講じる必要があります。
銀行は、あくまで最終的な資金供給源としての位置付けが適切でしょう。
要するに、新規借入を行う際は、以下の点に留意する必要があります。
適切な借入計画と返済計画を立てることで、資金繰りを改善できますが、返済リスクにも注意が必要です。
状況に応じて、借入以外の資金調達方法も検討するのが賢明です。
そもそも、資金計画がないと、いつどのくらいの資金が必要になるかが不明確です。必要な資金を確保
できず、機会損失が生じたり、資金繰りに窮することにもなりかねません。
そして、計画なく銀行から借入をしていると、銀行から経営の不健全さを指摘され、融資を渋られる可能性
が高くなります。
したがって、経営計画を立てることが資金繰り改善には不可欠なのです。