中小零細企業の社長が悩んでいるのが、「お金」のこと、要は資金繰りだと思います。
現場で財務改善を支援している財務コンサルタントが、
引き続き資金繰りを改善する手法を伝えていきます。
26 支払サイトの見直し
資金繰りを改善するための支払サイトの見直しは、非常に重要な手段の一つです。
支払サイトとは、会社が支払いを行う期日のことを指します。
例えば、仕入れ代金の支払日や人件費の支払日、租税公課の納付日などがこれに該当します。
通常、支払サイトが遅いほど資金繰りは良くなります。
なぜなら、支払いのタイミングが遅れれば、その分資金を確保しやすくなるからです。
しかし、支払いが大幅に遅れると取引先から信用を失ったり、延滞金が発生したりする恐れがあります。
そこで、支払サイトの適正化が重要になってきます。具体的には、次のような対策が考えられます。
このように、支払サイトを見直すことで、資金ショートに陥るリスクを低減できます。
状況に合わせて、最適な支払サイクルを設定することが重要となります。
しかし、既存の支払いサイトの変更の交渉をすることは、交渉の仕方によっては信用不安を起こす可能性が
あります。
支払サイトの変更交渉は、慎重に行わなければなりません。
取引先に不信感を与えてしまうと、かえって状況が悪化する可能性があります。
以下のようなポイントに気をつけて交渉するとよいでしょう。
契約期間の更新時など、適切なタイミングを選んで交渉を行います。
また、取引先の定める手順に従って正式に申し入れを行います。
2.状況と理由を丁寧に説明する
単に「支払サイトを遅らせたい」と要求するのではなく、現在の資金繰り状況と支払サイトを見直す合理的
な理由を詳しく説明します。
3.代替案やメリットを示す
単に期日を遅らせるだけでなく、早期払い割引の活用や、代わりに手形払いに切り替える等、取引先にもメリ
ットがある代替案を示します。
4.長期的な関係を重視する姿勢を見せる
一時的な資金繰り対策ではなく、より良い長期的な取引関係を構築したいという意思を示すことが大切です。
5.信頼関係を損なわないよう最大限の努力を払う
たとえ交渉が難航しても、相手の立場に立って理解を示し、信頼関係を損なわないよう細心の注意を払います。
このように、取引先の理解を得られるよう丁寧に交渉を重ねることが肝心です。
交渉次第では、かえって関係が深まる好機ともなり得ます。
そして、小規模な会社が仕入先と支払サイトの変更交渉を行う際は、以下のようなポイントに気をつける必要
があります。
仕入先にとって交渉力が低いため、一時的な条件変更ではなく、長期的な良好な取引関係を構築したい旨を強調
することが大切です。
単に支払サイトの延長を求めるのではなく、早期払い割引の活用や支払方法の変更(手形等)など、仕入先にもメ
リットがある代替案を提示します。
資金繰りが厳しい状況や、売上げの減少などの経営課題を隠さずに開示し、仕入先の理解を求めることが重要です。
仕入先の主導権を認め、一方的な要求は避けます。条件変更に対する見返りを提案したり、一時的な変更に留める
などの譲歩の姿勢が求められます。
日頃からコミュニケーションを密にし、仕入先との信頼関係を築いておくことが何より重要です。求めにくい交渉
事項でも、信頼があれば前向きに検討してもらえる可能性が高くなります。
つまり、場当たり的にサイトの変更を要請するのではなく、計画的に長期的視点を持って臨む必要があります。