財務コンサルタントの長瀬好征です。
前回の「売上UP≠利益UP」という話の続きとして、今回は値引きの本質について深掘りしていきます。多くの社長が陥る売上至上主義という病について詳しく解説します。
売上UP=利益UPという考え方を、売上至上主義といいます。
ではなぜ、売上至上主義がここまで広がってしまうのでしょうか?
答えはシンプルです。「分かりやすい」という一言に尽きます。
売上という数字は確かに分かりやすく、成長を実感しやすい指標です。しかし、売上以上に原価がかかれば、それだけで利益は増えません。この「売上」という数字の魔力に抵抗するのは、その分かりやすさから非常に難しいのが現実なのです。
2. 価格競争への参加
売上確保のために値引き合戦に参加し、業界全体の収益性を悪化させます。これは短期的には売上につながっても、長期的には企業の体力を奪います。
3. 経営判断の歪み
売上だけを見ていると、本当に利益につながる投資なのか、単なる売上のための投資なのかの判断が曖昧になります。
実際にあった話をご紹介します。これは私が経験した、まさに売上至上主義の典型例です。
私が決算書を事前にお預かりして拝見したところ、売上が2期連続で伸びていました。一見すると好調な会社に見えます。しかし、詳しく分析すると赤字幅が拡大していたのです。
「社長、まさか値引きしてもいいから売るように、と営業に言っていませんか?」
案の定、社長は「何が悪いの?」という表情を浮かべました。売上を上げることが最優先で、その手段については深く考えていなかったのです。
そこで質問を変えました。
「では質問を変えますが、値引きって、どこを削っていると思いますか?」
この質問に対して、多くの社長が明確に答えることができません。なぜなら、値引きの本質的な意味を理解していないからです。
あなたはすぐに答えることができるでしょうか?
考えてみてください。値引きをしても、経費は変わりませんよね。人件費も家賃も、その他の固定費も一切変わりません。
本来会社が得るべき利益を、値引きという名目で直接的に減らしているのです
商品の価格構造を簡単に表すと以下のようになります:
この構造を理解すると、なぜ「値引きしてもいいから売れ」という指示が危険なのかが分かります。営業担当者が原価を正確に把握していなければ、知らないうちに原価割れを起こしている可能性すらあるのです。
1. 値引きが利益を直接削っていることを理解していない
2. 原価を正確に把握せずに値引きをしている
戦略的な値引きは有効ですが、その前提として正確な原価計算と利益への影響の理解が必要なのです。
多くの中小企業で見落とされがちなのが、正確な原価計算です。大まかな計算で「だいたいこのくらい」という感覚で商売をしている会社が少なくありません。
直接材料費
商品の製造・仕入に直接かかる費用
直接労務費
製造・提供に直接関わる人件費
製造間接費
工場家賃、光熱費、減価償却費など
販売管理費
営業費、事務費、管理費の配賦
これらすべてを適切に計算して初めて、正確な原価が分かります。そして、この原価を下回る価格での販売は、会社の体力を削ることになるのです。
では、売上至上主義から脱却し、真の利益創出を目指すにはどうすればよいのでしょうか?
これらの質問に明確に「はい」と答えられない場合は、売上至上主義の罠にはまっている可能性があります。
次回は、正確な原価計算の具体的な方法と、それを活用した利益最大化の戦略について詳しくお話しします。ぜひお読みください。
参考外部リンク:日本経営協会では、財務改善に関する最新情報を提供しています。
また、経済産業省の中小企業支援策も併せてご確認ください。
合同会社エバーグリーン経営研究所 長瀬好征
「和魂洋才」による収益満開経営で、失われた30年を終わらせ、2200年の日本に繁栄を残す
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