資金繰り改善の手法 その68 【社長必見】プロジェクト別資金管理で資金繰り改善!3ステップで始める見える化手法

2025.06.05


資金繰り改善の手法 その68
【社長必見】プロジェクト別資金管理で資金繰り改善!

3ステップで始める見える化手法
📅 更新日:2025年11月27日
⏱️ 読了時間:8分

😰 こんな悩みを抱えていませんか?

💭 「売上は順調なのに、なぜか手元にお金が残らない…」

💭 「資金繰りが厳しくて夜も眠れない…」

💭 「どの仕事が本当に儲かっているのかわからない…」

そんな悩みを抱える中小企業の社長は多いのではないでしょうか。実は、多くの会社が見落としているのが「プロジェクト別の資金管理」です。

会社全体の資金繰りは把握していても、個々のプロジェクトや案件ごとの資金の動きを正確に把握している経営者は意外と少ないのが現実です。売上全体は順調でも、実はいくつかの赤字プロジェクトが会社の資金を食いつぶしていたり、見かけは利益が出ているプロジェクトが実は資金を大量に消費していたりすることは珍しくありません。

今回は、財務の専門知識がなくても実践できる「プロジェクト別資金管理」の導入方法を、3つのステップでわかりやすく解説します。この手法により、6ヶ月で資金繰りを劇的に改善した製造業B社の事例も併せてご紹介します。

なぜプロジェクト別の資金管理が必要なのか?

会社全体の数字だけでは見えない3つの盲点

多くの企業では、「会社全体」の資金繰りだけを見ています。しかし、会社全体の数字だけでは、以下のような重要な情報が見えてきません:

盲点1:資金を生み出すプロジェクトと消費するプロジェクトの判別不能

盲点2:資金回収サイクルの長短による資金効率の違いが不明

盲点3:見かけの利益率と実際の資金効率の不一致

近江商人の「しまつ」の教え:300年前の資金管理の智恵

江戸時代から続く近江商人には「日々損益を明らかにしないでは寝につかぬ」という厳しい家訓がありました。これは単なる記帳の習慣ではなく、一つ一つの取引に「しまつ」をつけるという経営哲学でした。

「しまつ」とは大阪商人の言葉で、売掛金の回収、不良在庫の処分、不採算部門の閉鎖など、中途半端な状態を放置せず、きちんと決着をつけることを意味します。現代で言えば、プロジェクトごとに資金の流れを明確にし、収支を確定させることに他なりません。

💡 古典の智恵と現代経営の融合
近江商人が300年実践してきた「しまつ」の精神は、現代のプロジェクト別資金管理そのものです。一つ一つのプロジェクトできちんと資金の流れを把握し、「しまつ」をつけることで、会社全体の資金繰りが劇的に改善します。

具体例:同じ利益2,000万円でも資金繰りは大違い

たとえば、売上高1億円、利益2,000万円の会社でも:

案件A:高利益・短期回収

売上:3,000万円
利益:1,500万円(利益率50%)
資金回収:2ヶ月

✅ 資金効率:優秀

案件B:低利益・長期回収

売上:7,000万円
利益:500万円(利益率7.1%)
資金回収:6ヶ月

⚠️ 資金効率:要注意

この場合、利益率の低い案件Bが資金を大量に消費し、資金繰りを圧迫している可能性があります。利益額だけを見れば案件Aの方が圧倒的に良いように見えますが、「資金効率」という観点では全く違った評価になるのです。

📝 今すぐできること

あなたの会社の主要プロジェクト3つについて、売上・利益・資金回収期間を書き出してみましょう。意外な発見があるはずです。

プロジェクト別資金管理で得られる3つのメリット

1️⃣

本当に儲かるプロジェクトの見極め

単に利益率が高いだけでなく、資金回収が早いプロジェクトを特定できます。これにより、限られたリソースを最も効率的なプロジェクトに集中投下できるようになります。

2️⃣

資金繰り予測の精度向上

個々のプロジェクトの入出金パターンを把握することで、全社の資金繰り予測の精度が高まります。「来月は資金が厳しくなりそう」という勘に頼った経営から、データに基づいた経営に変わることができます。

3️⃣

値決めと条件交渉の判断材料

新規案件の見積もり時に、利益だけでなく資金効率も考慮した価格設定や条件交渉ができます。「この条件では資金的に厳しいので、前受金をお願いします」といった具体的な交渉ができるようになります。

失敗しない導入3ステップ

難しく考える必要はありません。まずは以下の3ステップで始めましょう。

1
ステップ1:代表的なプロジェクト/案件の洗い出し

過去6ヶ月〜1年の主要なプロジェクトや案件を5〜10個ピックアップします。業種によっては「顧客別」「工事別」「製品ライン別」など、適切な区分で考えましょう。

✅ 選定のポイント

  • 金額の大きいもの(全体売上の70%を占める上位案件)
  • 期間の長いもの(3ヶ月以上継続するプロジェクト)
  • 定期的に繰り返されるもの(リピート性の高い案件)
  • 新しいタイプのもの(今後の展開を検討する案件)

2
ステップ2:簡易資金フローの作成

各プロジェクトについて、以下の情報をエクセルなどにまとめます:

📊 1. 基本情報

  • プロジェクト名/顧客名
  • 期間(開始日〜終了日)
  • 総売上額
  • 想定利益額

💸 2. 資金投入情報

  • 先行投資額(前払い経費、材料費等)
  • 月次支出額(人件費、外注費等)
  • 最終支出額(検収後の支払い等)

💰 3. 資金回収情報

  • 前受金の有無と金額
  • 中間金の有無と金額
  • 最終入金額と時期

3
ステップ3:資金効率の視覚化

各プロジェクトの資金効率を次の3つの指標で評価します:

📊 指標1:最大資金投入額

プロジェクト期間中に最も資金がマイナスになるポイントの金額

⏱️ 指標2:資金回収期間

最初の資金投入から全額回収までの期間

📈 指標3:資金効率指数

(プロジェクト利益 ÷ 最大資金投入額) × (12ヶ月 ÷ 資金回収期間)

この指数が高いほど、資金効率の良いプロジェクトと言えます。

📝 今すぐできること

1つのプロジェクトだけでも、上記3つの指標を計算してみましょう。意外な発見があるはずです。

製造業B社の成功事例:6ヶ月で資金繰り改善

B社の主要プロジェクト比較結果

製造業B社(従業員30名)がプロジェクト別資金管理を導入した結果をご紹介します。

プロジェクト1:大手メーカーX社向け特注部品

  • 売上:2,000万円
  • 利益:600万円(利益率30%)
  • 最大資金投入額:1,200万円(材料費の前払いが大きい)
  • 資金回収期間:4ヶ月
  • 資金効率指数:1.5

プロジェクト2:中小企業Y社向け定期納品 ⭐優秀

  • 売上:1,500万円
  • 利益:300万円(利益率20%)
  • 最大資金投入額:300万円(少額の定期的支出)
  • 資金回収期間:3ヶ月
  • 資金効率指数:4.0 🎯

プロジェクト3:海外Z社向け輸出案件 ⚠️要注意

  • 売上:3,000万円
  • 利益:900万円(利益率30%)
  • 最大資金投入額:2,000万円(材料費と人件費の先行投資)
  • 資金回収期間:8ヶ月
  • 資金効率指数:0.68 ❌

B社が得た3つの重要な気づき

この分析により、B社は以下のような気づきを得ました:

  1. 最も利益率が高いのはプロジェクト1と3だが、資金効率はプロジェクト2が圧倒的に良い
  2. 海外案件(プロジェクト3)は利益額が大きいが資金拘束期間が長く、資金効率が最も悪い
  3. プロジェクト2のような中小規模の定期納品を増やすことで、資金効率を高められる

改善策の実行と結果

B社では以下の改善策を実行しました:

  • ✅ 海外案件で前受金30%の交渉を実施
  • ✅ 中小規模の定期納品案件を積極的に獲得
  • ✅ 営業担当者の評価指標に「資金効率指数」を追加

🎉 結果

6ヶ月後には資金繰りが大幅に改善し、新規設備投資も可能になりました。

よくある失敗と対策

プロジェクト別資金管理を始める際に直面しやすい課題と、その対応策をご紹介します。

❌ 失敗1:「どこまで細かく管理すべきか」で迷子になる

✅ 対応策:

  • まずは金額の大きいプロジェクト(全体売上の70%を占める上位案件)から始める
  • 1プロジェクト当たり売上○○万円以上の案件だけを個別管理するなど、基準を設ける
  • 小規模案件はカテゴリごとにまとめて管理する

❌ 失敗2:「正確な予測が難しい」と完璧を求めすぎる

✅ 対応策:

  • 過去の類似案件のデータを参考にする
  • 最初は±20%程度の誤差を許容して始める
  • 実績を蓄積し、徐々に精度を高めていく(「積小為大」の精神)

❌ 失敗3:「担当者の負担が増える」と導入を諦める

✅ 対応策:

  • 既存の業務管理システムと連携させる
  • 月1回の簡易チェックから始める
  • エクセルのテンプレートを作成し、入力の手間を減らす

中小企業でも実践できる簡易版管理手法

「難しそう」「手間がかかりそう」と思われるかもしれませんが、最初は以下のような簡易的な方法から始めることができます。

1. エクセルで作る簡易資金フロー表

以下のような簡単なエクセル表で十分に効果が得られます:

📊 列項目の例

• プロジェクト名

• 開始月

• 終了月

• 総売上額

• 先行投資額

• 毎月の支出額

• 入金予定(前受/中間/最終)

• 最大資金投入額

• 資金回収期間

• 資金効率指数

2. プロジェクト開始前の「資金計画チェックシート」

新規プロジェクトの受注時に、以下の項目をチェックする習慣をつけましょう:

✅ チェック項目例

  • このプロジェクトで最大いくらの資金が必要になるか?
  • いつ頃が資金的に最も厳しい時期か?
  • 全額回収までにどのくらいの期間がかかるか?
  • 現在進行中の他のプロジェクトと資金的に重なる時期はあるか?

3. カラーコード化による視覚化

プロジェクトを資金効率で分類し、カラーコードで管理する方法も効果的です:

🔵 青:非常に良い

資金効率指数3.0以上

🟢 緑:良い

資金効率指数1.0~3.0

🟡 黄:普通

資金効率指数0.5~1.0

🔴 赤:悪い

資金効率指数0.5未満

進行中のプロジェクト一覧をこの色分けで管理すれば、一目で会社全体の資金状況が把握できます。

まとめ:小さな一歩が大きな変化を生む

プロジェクト別の資金管理は、一見すると「余計な手間」と思われがちですが、多くの中小企業にとって資金繰り改善の大きな武器となります。

特に重要なのは、「会計上の利益」と「資金効率」は必ずしも一致しないという事実です。利益率の高いプロジェクトが資金効率では最悪ということも少なくありません。

🎯 プロジェクト別資金管理を導入することで期待できる4つの変化

  1. 「見えない資金の流れ」が「見える」ようになる
    どのプロジェクトが資金を生み、どのプロジェクトが資金を消費しているかが明確になります。
  2. 戦略的な案件選択が可能になる
    限られたリソースをどのプロジェクトに投入すべきか、戦略的な判断ができるようになります。
  3. 交渉力が向上する
    顧客や仕入先との条件交渉時に、資金効率の観点からの根拠ある提案ができるようになります。
  4. 資金繰り予測の精度が向上する
    個別プロジェクトの資金フローを把握することで、全社の資金繰り予測の精度が高まります。

✅ 今すぐ始められる3つのアクション

  1. 過去3ヶ月の主要プロジェクト3つを書き出す
  2. それぞれの売上・利益・資金回収期間をメモする
  3. 最も資金効率の良いプロジェクトと悪いプロジェクトを特定する

まずは簡単なエクセル表から始めて、自社のプロジェクトの「資金効率」を可視化してみましょう。その小さな一歩が、資金繰り改善の大きな一歩となるはずです。

「今日から始められる、明日が変わる。」

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この記事で解説した手法は、資金繰り改善76の実践手法の1つです。
あなたの会社に最適な施策を体系的に選ぶ方法は、以下の記事で詳しく解説しています。


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