「義なき利」が招いた破綻から学ぶ、持続的繁栄の原理原則
近江商人シリーズも第3回を迎えました。第1回では「三方よし」の誤解を、第2回では近江商人の実態を明らかにしてきました。今回は、経営における根本的な課題について、現代の具体的事例を使って考えてみましょう。
現代経営において、道徳と利益の調和は最重要課題です。短期的な利益追求に走り、長期的な信頼を失う企業が後を絶ちません。しかし、300年前の近江商人は、この課題を見事に解決していました。彼らが実践した商売の理念と手法は、現代の経営者にとって極めて価値の高い智恵なのです。企業の持続的成長を実現するためには、この古典的な経営哲学を現代に活かすことが不可欠です。
2023年、ビッグモーター事件は日本中に衝撃を与えました。保険金詐欺、街路樹伐採、顧客への不正請求…短期的な利益追求が、結果的に会社を破綻に追い込んだ典型例です。
2023年、ビッグモーター事件は日本中に衝撃を与えました。保険金詐欺、街路樹伐採、顧客への不正請求…短期的な利益追求が、結果的に会社を破綻に追い込んだ典型例です。これこそが「義なき利」の末路であり、道徳的配慮を欠いた経営がもたらす破滅的結果を如実に示しています。
近江商人なら、こんな経営は絶対にしなかったでしょう。なぜか?彼らには「商売十訓」という確固たる行動指針があったからです。この指針こそが、道徳と利益を高次元で統合する秘訣だったのです。
「商売は世のため、人のための奉仕にして、利益はその当然の報酬なり」
この教えの深い意味を、現代の私たちはどう理解すべきでしょうか?道徳的価値と経済的価値の調和こそが、持続的繁栄の鍵なのです。
ビッグモーターの問題は、利益を目的にしてしまったことです。「とにかく数字を上げろ」という指示が、不正を生み出しました。
近江商人は違います。「まず顧客のために何ができるか?」これを徹底的に考え抜いた結果として、利益が生まれるのです。この順序こそが道徳的経営の核心です。顧客価値の創造を最優先に置くことで、自然と持続可能な収益構造が生まれます。
あなたの会社は大丈夫ですか?「売上目標達成のために何をするか」ではなく、「お客様のために何ができるか」から始まっていますか?
近江商人の家訓には、こんな教えがあります:「一時の損は永久の得」
例えば、不良品を発見したとき。隠して売るか、正直に申告して損失を被るか。この瞬間の判断が、会社の未来を決めます。道徳的判断と経済的判断の統合とは、短期的損失を受け入れる勇気なのです。
理化学研究所の研究によると、短期的損失を受け入れる判断力は、約4ヶ月の意識的な訓練で身につくことが分かっています。
二宮尊徳の教えにもある「分度」の概念。自分の会社の実力を正確に把握し、無理な拡大をしない。これも道徳的経営の重要な要素です。適正規模での着実な成長こそが、長期的な企業価値向上につながります。
ビッグモーターは急激な店舗拡大を続けましたが、組織管理が追いつかず、現場でのコンプライアンス崩壊を招きました。
売上の伸びに組織の成長が追いついていますか?急成長の裏に管理体制の穴はありませんか?
近江商人は毎日夕食前に必ず帳合を確認していました。
現代版として、こんな質問を自分に投げかけてください:
なぜこの商品を作るのか?なぜこの価格にするのか?なぜこのサービスを提供するのか?
この「なぜ?」の連鎖の最後に、「お客様のため」という答えが来るかどうか。これが持続可能な経営を実現する試金石です。
経常運転資金の動きを確認してください。
売上は伸びているのにお金が残らない…これは身の丈を超えた経営のサインです。
渋沢栄一の「論語とそろばん」も、まさに道徳と利益の統合を説いています。この古典的経営哲学は、現代においてもその価値を失うことがありません。
二つは対立するものではありません。高い次元で統合することで、持続可能な繁栄が生まれるのです。この統合こそが真の経営哲学の真髄です。
渋沢栄一記念財団の研究によると、渋沢が関わった約500の企業・団体の多くが、この理念により長期的成功を収めています。
ビッグモーター事件は、他人事ではありません。どんな会社も、「義なき利」の罠に陥る可能性があります。
しかし、300年前の近江商人が実践していた原則を、現代の経営に活かすことで、真の意味での「収益満開経営」が実現できるのです。道徳的価値と経済的価値の統合は、企業の持続的成長にとって不可欠な要素なのです。
経営における道徳的判断は、単なる理念ではありません。具体的な実践方法があり、科学的根拠に基づいた確実な成果をもたらします。現代の激しい競争環境においても、この古典的智恵は極めて有効な経営手法として機能します。
今日から始められる3つの具体策:
300年の智恵を現代に活かし、次世代に誇れる経営を実現しましょう
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