「事業計画書を作ったのに、なぜ利益が増えないのか」——この問いを抱えた社長に、今日は根本的な答えをお伝えします。融資、補助金、リスケジュール。今や事業計画書が必要な場面は急増しています。多くの社長が「まず売上目標を立てよう」と書き始めます。売上が伸びれば利益も増えるはずだ、という直感は決して間違っていないように見えます。
しかし現実は違います。売上が前年比150%に成長したにもかかわらず、運転資金不足で倒産寸前まで追い込まれた会社を私は何社も見てきました。売上計画の裏に隠れた「コスト構造の変化」を見落とすと、売上が増えるほど利益が圧迫されるという逆転現象が起きるのです。
近年の倒産件数は年間8,000〜1万件で推移しています(2024年約1万件)。この中には、売上が順調だったにもかかわらず資金繰りが悪化した会社が多数含まれています。「利益を増やしたいから売上計画を立てる」という発想そのものに、根本的な落とし穴があるのです。
財務を軸とした経営コンサルタントとして30社以上の資金繰り改善を支援してきた経験から、事業計画書で確実に利益を増やすための正しい思考法と、5つの実践的アプローチをお伝えします。
二宮尊徳は「分度」という概念を説きました。収入の規模を正確に把握し、そこから支出を定めることで初めて真の繁栄が生まれる、という教えです。「売上を増やす」前に「利益構造を設計する」——この順序の逆転が、事業計画書を機能させる鍵です。
この記事を読むことで、あなたは次の力を手に入れることができます。
理化学研究所の研究により、経営判断力は科学的に4ヶ月で習得可能であることが証明されています。事業計画書を「思考を鍛えるフレームワーク」として活用することで、あなたの財務感覚は確実に向上します。
「利益が増えない」のは努力不足ではなく、計画の構造の問題です。今日お伝えする5つのアプローチを事業計画書に組み込むことで、根本から変わることができます。
事業計画書の作成支援をしていることがコンサルティングの現場では急増しています。その理由は、今の経済環境下では事業計画書が必要な場面が明確に増えているからです。
💡 令和時代の経営現実
昭和・平成の「なんとかなるだろう経営」はもう通用しません。国が「経営力(思考力)重視」を明言した今、事業計画書は単なる提出書類ではなく、社長の思考力を証明するドキュメントになっています。
融資担当者や補助金審査員が事業計画書を通じて見ているのは、表面的な数字ではなく「この社長は本当に考えているか」という経営者としての本質です。
事業計画書の支援をしていて最も多く目にする誤りが、「売上増加=利益増加」という前提で計画を立ててしまうことです。
利益が少ない場面で、多くの社長は次のように思考します。
→ 売上は増えたのに、利益はむしろ減少する
この思考の何が問題なのか。それは「売上計画」と「利益計画」を同一視していることです。売上計画は「いくら売るか」を定めるものですが、利益計画は「いくら残すか」を設計するものです。この二つは、本質的に別の計画です。
教育心理学者の西林克彦氏は「わかったつもり」という概念を提唱しています。表面的に理解できたと感じていても、本質的な構造は把握できていない状態を指します。「売上が増えれば利益も増える」という思い込みは、まさにこの「わかったつもり」の典型です。売上と利益の「関係の構造」を理解せずに計画を立てているのです。
売上を増やすためには必ず何らかのコストが発生します。人が動けば人件費がかかる。広告を打てば広告費がかかる。値引きをすれば粗利率が下がる。これらのコスト増加が売上増加の恩恵を上回ったとき、利益は逆に縮小します。「売上を増やす計画」だけを立てて「コストがどう変わるか」を設計しないことが、事業計画書を機能不全に陥らせる根本的な構造的欠陥です。
事業計画書で売上目標を設定するとき、同時に「その売上を実現するためにいくらかかるか」を必ず問わなければなりません。これが「利益計画」の本質です。
営業を頑張るということは、社長が動くにせよ従業員が動くにせよ、活動には必ず費用がかかります。現代においてコストゼロで売上を伸ばす方法はほぼ存在しません。
| コストの種類 | 具体例 | 見落とすと |
|---|---|---|
| 人件費 | 社長・従業員の時間給換算コスト | 実質的な利益を過大計上 |
| 営業経費 | 交通費・ガソリン代・駐車場代 | 1件あたり原価の計算が狂う |
| 販促費 | チラシ・Web広告・展示会費 | 投資対効果が計測できない |
| 値引きによる粗利減少 | 10%値引きで粗利は大幅下落 | 値引きが習慣化し利益構造崩壊 |
| 機会コスト | 営業に費やした時間でできた他の業務 | 本来の強みが活かせない |
山田方谷は「理財論」の中で「入りを量りて出を制す」と述べました。まず収入を正確に把握し、そこから支出を定める。この原則は、事業計画書における利益設計にそのまま応用できます。「いくら売るか」より先に「どのコスト構造で利益を確保するか」を設計することが、機能する事業計画書の基本です。
つまり事業計画書で売上を考えるということは、同時に販売手段を考えることであり、さらに経費の構造をも設計することなのです。この3つを分離して考える経営者は、どれほど売上目標を達成しても利益が残らない計画を繰り返してしまいます。
売上思考の罠を脱出し、事業計画書で確実に利益を増やすための5つのアプローチを解説します。
1
売上目標を設定したら、必ずその売上を実現するためにかかるコストを計算します。営業1件あたりにかかる時間×時給換算の人件費、交通費、販促費を数値化し、1件の粗利から差し引いた「実質1件あたり利益」を計算してください。この数字が出て初めて、「何件売ればいくら残るか」という現実的な計画が立てられます。
2
値引きは即座に粗利率を下げます。粗利率30%の商品を10%値引きすると、実質的に粗利は20%に下落します。このとき、以前と同じ利益額を維持するためには売上を1.5倍にしなければなりません。事業計画書には「粗利率を維持できる最大値引き率」を事前に設定し、それを超えた値引きを組織的に禁止するルールを明記することが重要です。
3
売上÷営業コスト=営業効率指標を計算し、事業計画書に目標値として設定します。例えば「50万円の営業コストで500万円の粗利を生む」という10倍の目標を立てれば、営業活動の成果を客観的に評価できます。この指標が計画を下回ったとき、どの部分のコストが問題なのかをすぐに特定できるようになります。
4
利益改善の手段は売上増加だけではありません。固定費を月10万円削減できれば、それは年間120万円の利益改善と同義です。事業計画書に売上目標だけでなく、固定費削減目標も並列で設定することで、利益改善に向けた複数の手段が生まれます。「売上を増やす」と「コストを下げる」の両輪で利益を設計することが、堅牢な事業計画書の特徴です。
5
事業計画書のKPIとして、売上よりも利益率(特に売上総利益率・経常利益率)を最重要指標に置きます。「売上3億円達成」より「粗利率40%維持」のほうが、経営の健全性を測る上で本質的です。渋沢栄一が「論語とそろばん」で説いた「道徳と経済の両立」とは、目先の売上に走らず持続可能な利益構造を設計することに他なりません。利益率目標が先にあることで、自然に「高利益率の顧客・商品・販売方法」を選ぶ意思決定が生まれます。
近江商人の「三方よし」——売り手よし、買い手よし、世間よし——は、持続可能な利益構造の原型です。値引き競争や一時的な売上追求ではなく、顧客にとっての本質的な価値を提供することで、長期的な利益が生まれる。この思想を事業計画書に組み込むことで、金融機関・審査員が最も信頼する「持続可能な成長の設計図」が完成します。
令和時代を乗り切るために事業計画書作成ができるようになることが必須である、という現実を多くの社長はまだ認識していません。「書類を作ること」だと捉えているうちは、事業計画書の真価を引き出せません。
事業計画書の本質的な価値は「思考フレームワーク」にあります。理化学研究所の将棋研究が示すように、ルール(フレーム)があることで初めて直観力は4ヶ月で習得できます。事業計画書という構造化されたフレームの中で考えることで、経営者の判断力が体系的に向上するのです。
2025年版中小企業白書は、事業計画を持つ企業の業績改善率が持たない企業と比べて明確に高いことを示しています。これは偶然ではありません。計画を持つ社長は「現状の問題→原因→対策→計画」という思考の筋道を持っており、変化に対して迅速かつ的確に対応できるからです。
真の経営者とは、数字と人間性の両方を理解し、事業計画書を通じて長期的な価値を創造できる人です。渋沢栄一が「論語とそろばん」で説いた「道徳と経済の両立」も、二宮尊徳の「道徳経済合一説」も、この原則を2000年前に喝破していました。思考力のある経営者が道徳的・経済的に繁栄する——令和の今もこの真理は変わりません。
事業計画書で利益が増えない根本的な原因は「売上計画=利益計画」という思い込みにあります。売上を計画するとき、必ずその裏に存在するコスト構造を同時に設計することが、本当に機能する事業計画書の条件です。
売上計画と利益構造設計の両輪が揃ったとき、事業計画書は初めて「思考力の証明書」として機能し、金融機関・審査員・社員の信頼を一気に高めます。
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合同会社エバーグリーン経営研究所
代表社員 長瀬好征
「和魂洋才」による収益満開経営で、失われた30年を終わらせ、2200年の日本に繁栄を残す