会計数値と実態の違い~経営者が知るべき資金の真実と5つの改善ポイント~

2025.03.27

会計数値と実態の違い~経営者が知るべき資金の真実と5つの改善ポイント~

キャッシュフローの本質を理解し、資金管理の精度を高める実践法
📅 更新日:2025年9月8日
「先月の売上は過去最高でした。利益も確保できています。でも、なぜか資金繰りが苦しい…」
このような悩みを抱える経営者は少なくありません。会計数値と実態が乖離する現象には重要な理由があります。決算書の数字と実際の資金の動きは全く別物だからです。多くの経営者が見落としがちな「資金の真実」を、古典の叡智と現代財務理論で解明していきます。
会計数値と実態の違い

🌸 会計数値と実態の根本的な違い

多くの経営者は、月次の試算表や会計システムの出力帳票を見て、自社の資金状況を判断しようとします。税理士から提供される各種レポートも参考にするでしょう。しかし、これらの数字は必ずしも実態を表していません。

なぜ会計数値と実態が乖離するのか?
一般的な会計システムは税務申告のために設計されているからです。税務会計の基準に従って数字を計上するため、実際の資金の動きとは大きくかい離することがあります。これは「発生主義会計」という仕組みが原因です。売上が発生した時点で計上するため、実際の入金とは時期が異なるのです。

🌸 具体的な乖離パターンと5つの改善ポイント

1
売掛金の計上と実際の入金時期の管理:製造業A社では、3月に1,000万円の商品を出荷しました。会計上は3月の売上として計上されますが、実際の入金は、手形サイトが120日なので7月になります。つまり、3月の試算表には1,000万円の売上が計上されていますが、実際の入金まで4ヶ月もかかるのです。得意先ごとの実際の支払いサイトと手形の実際の満期日を現実の取引に基づいて管理することが必要です。
2
棚卸資産の評価と実際の仕入支払いの適正化:会計上の在庫評価と実際の現金支出には大きなズレが生じます。在庫が増加すると、損益計算書上は資産計上されますが、実際には現金が減少しています。仕入先への支払期日を実際の取引条件に基づいて正確に把握し、在庫回転率を高めることで資金効率を改善できます。
3
減価償却費と実際の支出の区別:減価償却費は費用計上されても実際の支出は伴いません。しかし逆に、設備投資をした時は会計上費用にならないのに現金は大きく減少します。この違いを理解し、減価償却費相当額を設備投資資金として積み立てる計画的な資金管理が重要です。
4
給与・税金・借入金返済スケジュールの統合管理:これらは会計上は様々な項目に分散して計上されますが、資金繰りでは支払い時期が最も重要です。給与や税金の支払い時期、借入金の返済スケジュールを一元的に管理し、支払い集中月の前に余裕資金を確保する仕組みが必要です。
5
成長期における運転資金の先行管理:特に注意すべきは成長期の企業です。売上が増加すると会計上は好調に見えますが、実際には売掛金が増加し、仕入れの支払いも増えるため、資金繰りは逆に厳しくなることが多いのです。売上成長率に応じた運転資金の増加を事前に計算し、成長資金を確保する計画が不可欠です。

🌸 キャッシュフロー計算書の落とし穴

一般的な会計システムから出力される「キャッシュフロー計算書」の真実
よく目にするキャッシュフロー計算書は、実は税務会計データを基に作成される「間接法」によるものです。つまり、実際の資金の動きを直接表したものではなく、税務会計上の数値を単に組み替えただけなのです。これでは真の資金管理はできません。

真の資金管理には、実際の入金予定と出金予定を現実の取引に基づいて管理する「直接法」的なアプローチが必要です。会計システムの数値に頼るのではなく、実際の取引条件や支払いサイトに基づいた管理が求められます。

🌸 古典の叡智に学ぶ資金管理の本質

「日々損益を明らかにしないでは寝につかぬ」

近江商人の教えは、現代の資金管理の本質を見事に表現しています。会計数値ではなく、実際の資金の動きを日々把握することが真の経営管理なのです。また、山田方谷の「入りを量りて出を制す」という教えも重要です。入金の実態を正確に把握してから支出をコントロールするという考え方は、現代の資金管理そのものです。

🌸 科学的根拠に基づく認識フレームワーク

認知心理学の市川伸一教授が指摘する「利用可能性ヒューリスティック」により、人は印象的で分かりやすい情報(売上高や利益率)に注意を向けがちです。しかし、真の経営判断には、表面的な数字ではなく実態を正確に把握する認知フレームワークが必要です。

教育心理学の西林克彦教授の「わかったつもり」対策
多くの経営者は、月次試算表を見て「会社の状況がわかった」と感じますが、これは実は「わかったつもり」に過ぎません。真の理解には、会計数値の背後にある実際の取引や資金の動きまで把握することが必要です。数字の意味を構造的に理解し、実態との違いを明確に認識することが重要です。

🌸 実践的な資金管理システムの構築

日次

入出金予定の
現実ベース確認

週次

支払いサイト別
資金繰り調整

月次

会計数値と実態の
乖離分析

重要なのは、「会計上の数値」と「実際の資金の動き」は異なるという認識です。会計数値は経営の一側面を表すものであり、必ずしも資金の実態を表してはいないのです。

🌸 結論:実態に基づく資金管理への転換

会計数値と実態の違いを理解することが真の資金管理の出発点
税務会計の数字に惑わされることなく、実際の取引条件と資金の動きに基づいた管理システムを構築することで、「売上は好調なのに資金繰りが苦しい」という矛盾から解放されます。古典の叡智「日々損益を明らかにする」精神と現代の科学的認知フレームワークを統合することで、真の経営判断力を身につけることができるのです。

📚 資金繰り改善の全体像を知る

この記事で解説した手法は、資金繰り改善76の実践手法の1つです。
あなたの会社に最適な施策を体系的に選ぶ方法は、以下の記事で詳しく解説しています。


📖 資金繰り改善76の実践手法を見る

🔗 関連記事

📞 お問い合わせ

財務改善の相談実施中

🎯 収益満開経営

和魂洋才による経営変革

📚 継続学習

古典の叡智と現代科学の融合


合同会社エバーグリーン経営研究所 長瀬好征
「和魂洋才」による収益満開経営で、失われた30年を終わらせ、2200年の日本に繁栄を残す