「銀行からの借入以外に資金調達の方法はないだろうか…」
「取引銀行が統合されて、融資条件が厳しくなってきた…」
「設備投資のために、もっと長期の資金調達ができないだろうか…」
こうした悩みを抱える中小企業の社長は少なくありません。実は、銀行借入以外にも「社債発行」という選択肢があることをご存じでしょうか?
社債は多様な投資家から長期資金を調達できる強力な手法です。特に中小企業には「少人数私募債」という使いやすい仕組みがあります。かつては節税手段として使われましたが、税制改正により現在は封じられています。本記事では、社債による資金調達の7つの手法と現在の正しい活用法を「収益満開経営」の理念に基づいて詳しく解説いたします。
社債発行により、経営権を維持しながら大規模な資金調達が可能になります。さらに利息は損金算入されるため、税務メリットも享受できます。資金調達手段の多様化により、銀行依存からの脱却と財務戦略の自由度向上を実現しましょう。
社債とは、企業が投資家から資金を調達するための有価証券です。企業が投資家から一定期間資金を借り入れ、その間一定の利息を支払い、満期時に元金を返済する仕組みとなっています。
論語に「人にして信なくんば、其の可なるを知らざるなり」(信頼がなければ、どうして社会で認められようか)とあります。社債はまさに、この「信」を契約書という形で明確化したものです。
企業と投資家の間で、返済条件・利息・期間を明文化することで、信頼関係を可視化します。これは近江商人が大切にした「始末をつける」(物事をきちんと完結させる)精神とも通じています。
社債発行は計画的なプロセスが必要です。以下の7ステップで確実に進めましょう。
1
発行金額・利率・返済期間・担保の有無などの基本条件を決定します。市場金利や自社の信用力を考慮して、投資家にとって魅力的な条件を設定することが重要です。
2
適格投資家(中小企業の場合は取引先・役員・従業員など)に社債購入を呼びかけます。事業内容・財務状況・資金使途を丁寧に説明し、理解と協力を得ることが成功の鍵です。
3
投資家から社債申込を受け付け、払込金を受領します。この時点で企業は調達資金を事業に活用できるようになります。
4
契約に基づく利息を年1〜2回、期間中継続して支払います。これは企業の「信」を示す重要な義務です。
5
法令に基づく適切な情報公開を行います。特に財務状況の定期的な報告は、投資家との信頼関係維持に不可欠です。
6
事業計画に基づいて事業を推進し、進捗状況を投資家に定期的に報告します。透明性の高い経営が求められます。
7
約定どおりの元金一括返済を行います。これにより、社債発行という一連のプロセスが完結します。
資金調達の方法として、社債発行と増資(新株発行)がありますが、両者には決定的な違いがあります。経営戦略上、この違いを正確に理解することが重要です。
借入金(債務)
元利金の確実な支払い義務
債権者(経営権なし)
負債増加(財務レバレッジ上昇)
利息の継続的支払い(損金算入可)
資本調達(自己資本)
業績連動(支払い義務なし)
株主(経営参加権あり)
自己資本増加(財務安定性向上)
一時的な発行コスト(損金算入不可)
経営権を維持したい場合は社債、財務体質を強化したい場合は増資が適しています。ただし、中小企業の場合は株主が限定されるため、実質的には社債の方が使いやすいケースが多いといえます。
銀行借入れよりも大規模な資金調達が可能です。複数の投資家から資金を集めることで、一行依存のリスクも軽減できます。長期的な資金需要(設備投資・事業拡大)に対応できます。
支払う社債利息は損金算入されるため、法人税負担を軽減できます。一方、配当金は損金算入できないため、この点で社債は税務上有利です。
多数の投資家から資金調達することで、特定の金融機関への依存度を下げることができます。銀行の経営統合や方針転換の影響を受けにくくなります。
債権者は経営権を持たないため、経営の自主性を完全に維持できます。特に同族経営を続けたい中小企業にとって、これは大きなメリットです。
引受手数料、発行事務費用、情報開示コストなどが必要です。少人数私募債でも最低限の費用は発生するため、調達金額が小さいと費用対効果が悪くなる可能性があります。
業績に関係なく、契約どおりの利息支払いが必要です。業績悪化時でも支払義務は継続するため、資金繰り計画を慎重に立てる必要があります。
返済が困難になった場合、法的措置を取られるリスクがあります。特に担保付社債の場合、担保資産の処分を迫られる可能性もあります。
財務状況等の継続的な情報開示が法的に義務付けられています。経営情報の透明性が求められるため、情報管理体制の整備が必要です。
期限前償還には制約があり、機動性に制限があります。資金に余裕ができても自由に繰上返済できない場合が多く、利息負担が続きます。
中小企業においては、一般公募社債ではなく「少人数私募債」による発行が一般的です。近江商人の教えにある「身の程を知る」ことが、適切な資金調達手法選択の要諦です。
少人数私募債とは、49人以下の特定投資家に対して発行する社債のことです。一般公募債と比べて規制が緩和されており、中小企業でも比較的容易に発行できます。
少人数私募債:49人以下の特定投資家(取引先・役員・従業員など)
一般公募債:不特定多数の投資家
少人数私募債:開示規制が軽微(有価証券届出書不要)
一般公募債:厳格な開示義務(有価証券届出書必須)
少人数私募債:低コスト(数十万円程度)
一般公募債:高コスト(数百万円以上)
少人数私募債:数千万円〜数億円程度
一般公募債:大規模調達可能(数十億円以上)
かつては、同族会社が役員・従業員に対して高利率の少人数私募債を発行することで、実質的な節税手段として活用されていました。
具体例:役員報酬を年間500万円増額する代わりに、5,000万円の私募債を発行(利率10%)
• 役員報酬増額の場合:個人は最高55%課税(所得税45%+住民税10%)
• 私募債利息の場合(旧制度):個人は源泉分離20%のみ
→ 実質的な節税効果:約35%の税負担軽減
税制改正により、以下の厳格な制限が設けられました:
結論:現在では節税手段としての魅力は完全に失われ、本来の資金調達手段として健全に活用されています。
少人数私募債は、節税手段としてではなく、以下の本来の目的で活用すべきです:
主要取引先に私募債を引き受けてもらうことで、ビジネス関係をより強固に。適正な利率で相互にメリットのある関係構築。
銀行預金より有利な利率(ただし市場金利に準拠)で、従業員の資産形成を支援。会社への帰属意識向上にも貢献。
銀行借入への過度な依存を避け、資金調達手段を多様化。金融機関の方針転換リスクを軽減。
現在では、市場金利に近い適正な利率設定が必須です。具体的には以下を参考にします:
目安:年利1〜3%程度(2025年現在の金利環境下)
状況:新工場建設のため3億円の資金が必要だったが、銀行融資だけでは金額が不足
対応:取引先企業10社・従業員持株会に少人数私募債を発行(利率:年2.0%、期間:5年)し、1億円を調達。残り2億円は銀行融資で対応
ポイント:市場金利に準拠した適正な利率設定により、税務リスクを回避。役員への発行は避け、健全な資金調達を実現
結果:銀行依存度を下げながら、必要資金を確保。取引先との関係強化にもつながり、従業員の会社への信頼も向上
渋沢栄一が「論語とそろばん」で説いたように、道徳的な経営と効率的な資金調達の両立が重要です。社債発行は、投資家との信頼関係(論語)と合理的な資金調達(そろばん)を同時に実現する手法です。
二宮尊徳の「積小為大」(小さな改善の積み重ねが大きな成果を生む)の教えは、社債活用にも通じます。いきなり大規模発行を目指すのではなく、少人数私募債から始めて実績を積み、徐々に規模を拡大する段階的アプローチが成功の鍵です。
重要なのは、返済能力や財務内容を慎重に検討し、会社の成長段階に応じた適切な資金調達手法を選択することです。
これは単に「お金を集める」ことではなく、企業価値向上と社会貢献を両立させる戦略的判断なのです。「収益満開経営」では、このような多角的視点から最適な資金調達戦略を提案し、2200年の日本に繁栄を残すための持続的経営を支援しています。
社債発行は、銀行借入れとは異なり、多様な投資家から長期資金を調達できる優れた手法です。特に中小企業では少人数私募債の活用により、コストを抑えながら効率的な資金調達が可能となります。
ただし、発行条件によっては利息負担が重くなる可能性もあるため、財務内容と返済能力を十分に検討した計画性ある活用が不可欠です。
この記事で解説した手法は、資金繰り改善76の実践手法の1つです。
あなたの会社に最適な施策を体系的に選ぶ方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
💡 資金調達シリーズを体系的に学ぶ:社債・増資・銀行融資など、各種資金調達手法を比較しながら理解することで、自社に最適な方法を選択できます。
2025年中小企業白書準拠の「経営力診断35問」で、わずか5分であなたの経営力を科学的に測定できます
診断で分かること:
今なら診断登録で特別プレゼント!
診断結果に基づいた改善メール7通を自動配信
さらに週2回の経営力向上メルマガも無料でお届け
※診断は完全無料です。営業電話は一切ありません。
経営改善の相談実施中
和魂洋才による経営変革
古典の叡智と現代科学の融合
代表:長瀬好征(合同会社エバーグリーン経営研究所)
合同会社エバーグリーン経営研究所 長瀬好征
「和魂洋才」による収益満開経営で、失われた30年を終わらせ、2200年の日本に繁栄を残す