財務についてのよくある勘違い その8 「利益」についてのまとめ

2023.09.24

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今回はこれまで書いた来た「利益」についての簡単な

まとめをします。

最近出会った若い社長との話の具体例を元にして説明して

いきます。

ただ、かなり単純なものにしてあります。

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社長:「すごくないですか、この商品の売値が1万円で
仕入れ値は1000円なんですよ。利益9000円で利益率90%
も出たんです。」

私「・・・・」

こんなことを30分ぐらい聞いていました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

この社長のことを誹謗中傷するのが意図・目的ではないこと
を予め伝えておくとして。

 

私が何も答えなかったのは、言っている意味が分からないと
いうことです。

 

さて、あなたはどうでしょうか?

この社長の「利益」という言葉をどのように受け取ったでし
ょうか?

 

この社長の利益は、利益 =売値 ー 仕入れ値です。

しかし、損益計算書の一番上にある利益の売上総利益でも、
売上総利益 = 売上高 ー 原価です。

 

さて、この社長のビジネスに商品仕入以外の原価は無いのでしょ
うか?

まあ、仮にないとして。

2番目にあるのは、営業利益でしたね。

営業利益 = 売上総利益 ー 販売費及び一般管理費(以下「販管費」)

さすがに、販管費がないビジネスな訳ないですね。

モノを送るにも送料がかかるので。人件費が全くかからないハズ
もないですし。

そして、次にあるのが、経常利益で、
経常利益 = 営業利益 ー 営業外損益です。

つまり、この社長のコトバをかなり好意的に解釈しても、「利益」を
売上総利益の意味で使っているとなります。

しかし、どうもこの社長のコトバからは、前後の文脈はカットしてい
ますが、「利益」=手残り という意味でしか、私には受け取れなか
ったのです。

聞きながら、「差額」っていえば誤解が聴き手だけでなく、自分にも
生じないのになぁ、とずっと思っていました。

以前に書いたように、税務会計における損益計算書の「利益」は、実在
する金額ではなく、税金を計算する上での概念なので、利益=手残りに
なることはあり得ません。

また、ビジネスにおいて、取引が1回限りということはないので、誤解
しているというよりも、知らないというのが正しいでしょう。

こういう基本的な概念をしらないとビジネスのセンスや内因的要因以外

のところで判断を間違えることになるのです。

つらつらと書いてきましたが、「利益」を見るな!といっているのでは
ありません。

 

言いたいことは、会計を使わないビジネスは世界中で存在することはな
く、会計の基本的な概念を知らずにビジネスするのは、雪山に裸で登る
ようなものだ、といいたいのです。

 

損益の話で書きたいことはまだまだありますが、次回からは貸借対照表

の話に移っていきたいと思います。

About Post Author

NAGASE YOSHIYUKI

財務コンサルタント。 ビジョン「1000年繁栄し続ける企業への変容するようサポートする」 ミッション「ご縁をいただいた会社、社長、従業員の成長、発展、成功、繁栄への道を共に歩む社外の一番のパートナー」
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