私が成功事例を話さない理由~成功事例はコンサルティングを弱くする5つの害毒~

2025.12.22

私が成功事例を話さない理由

成功事例はコンサルティングを弱くする5つの害毒
📅 更新日:2025年12月22日

📌 この記事で得られること

コンサルタントの99%が武器にする「成功事例」を、なぜ私は一切語らないのか。その理由は、コンサルティングの本質的価値と、クライアントの真の成長を深く理解すれば明らかになります。

30社以上の財務改善に携わる中で確信した「成功事例依存がコンサルティングを弱くする5つの害毒」と、一倉定・伊丹敬之という日本経営学界の巨匠が証明した「自立促進」の理念。この記事では、業界の常識に真っ向から挑戦する收益満開経営の独自アプローチを、学術的根拠とともに解説します。

  • なぜ成功事例に頼るコンサルタントが多いのか
  • 成功事例依存の5つの構造的問題
  • 一倉定・伊丹敬之が示した真のコンサルティング
  • 目的論アプローチによる本質的価値創造
  • AI時代に求められるコンサルタントの姿

業界の常識:なぜ99%のコンサルタントは成功事例を語るのか

「弊社がご支援した○○社様は、売上が前年比150%に増加しました」「△△業界のクライアント様で、3ヶ月で資金繰りが劇的に改善した事例があります」——コンサルタントのホームページや営業トークを見れば、必ずと言っていいほど「成功事例」が並んでいます。

これは業界の常識です。クライアントは「実績」を求め、コンサルタントは「証明」として成功事例を提示する。一見、合理的に見えるこの構造ですが、実は重大な問題を孕んでいます。

📊 なぜ成功事例が「売れる」のか

  • 安心感の提供:「他社で成功したなら、うちでも」という期待
  • 具体性の錯覚:数字があると説得力があるように感じる
  • 思考停止の許容:「成功パターン」に乗れば考えなくて済む
  • 責任転嫁の可能性:「事例通りやったのに失敗した」と言える

しかし、私は30社以上の財務改善に携わる中で、この「成功事例依存」こそがコンサルティングの質を著しく低下させていることを確信しました。そして、一倉定・伊丹敬之という日本経営学界の巨匠たちの研究が、この確信を完璧に裏付けてくれたのです。

成功事例に頼らないコンサルティングと従来型コンサルティングの対比を示すビジネスイラスト

成功事例依存から本質的な自立支援へ。收益満開経営が実践する真のコンサルティングアプローチ。

成功事例がコンサルティングを弱くする5つの害毒

【害毒1】コンサルタントの思考停止を招く

成功事例に頼るコンサルタントは、「過去のパターン」に当てはめて考える癖がつきます。これは認知心理学で言う「スコトーマ(盲点)」の形成です。

×
成功事例依存のコンサルタント

「以前、製造業のA社で在庫圧縮が成功したから、御社も同じ方法でいきましょう」

問題:A社の成功要因(工場長の卓越した改善力、協力的な取引先関係、特定時期の市場環境)を無視し、表面的な「在庫圧縮」という方法論だけを適用しようとする。


本質的思考のコンサルタント

「御社の在庫が多い『本当の理由』は何ですか?需要予測の精度ですか?発注ロットの問題ですか?それとも販売計画の甘さですか?」

効果:クライアント固有の文脈を丁寧に読み解き、真の問題を特定することで、持続可能な解決策が見えてくる。

【害毒2】クライアントの真の課題を見落とす

一橋大学名誉教授の伊丹敬之氏は、著書『なぜ戦略の落とし穴にはまるのか』(2018年)で、38年にわたる経営戦略研究から「戦略を作る人がはまる穴の共通パターン」を体系化しました。その第一の落とし穴が「表面的症状への固着」です。

⚠️ 伊丹敬之教授の警告

「不都合な真実を見ない」「大きな真実が見えない」——これらは成功事例に頼る思考の典型的症状である。他社の成功パターンを自社に当てはめようとするとき、人は自社固有の「不都合な真実」から目を背け、「大きな構造的問題」を見失う。

成功事例は「症状」レベルの対処法です。「売上が落ちた→営業強化」「利益が減った→コスト削減」。しかし、本当の問題は「なぜ売上が落ちたのか」「なぜコストが膨らんだのか」という構造的課題にあります。

【害毒3】依存関係を構築してしまう

「社長の教祖」と呼ばれた一倉定(1918-1999)は、35年間で5000社以上を指導しましたが、彼が最も重視したのは「社長自身の成長」でした。一倉定の遺志を継承した関洋一氏は、著書『一倉定”社長学”実践「Sフレーム」のすすめ』(2014年)で次のように述べています。

💡 一倉定理論の核心

「社長は勉強しろ」「数字で経営しろ」「計画を立てろ」——一倉定の教えは、すべて社長自身が考え、判断し、決断する力を身につけることを目的としていた。コンサルタントに依存させることは、真逆の行為である。

成功事例を語るコンサルタントは、無意識のうちに「次も私に頼めば成功します」というメッセージを発しています。これは短期的には契約継続につながりますが、長期的にはクライアントの自立を阻害します。

依存型コンサルティング

「前回成功した方法があるので、また使いましょう」→ 社長の思考力は向上せず、常にコンサルタントが必要になる

自立型コンサルティング

「御社固有の課題を、社長自身が特定し解決する力を身につけましょう」→ 社長の経営力が向上し、最終的に自立できる

【害毒4】イノベーションを阻害する

伊丹敬之教授は『経営戦略の論理』(1980年初版、第4版2012年)で、「戦略は構想であって、現状維持のプランではない」と喝破しました。40年以上読み継がれるこのロングセラーが示す核心は、目標ファースト思考です。

1
達成したい目標をイメージ

「10年後、我が社はどうありたいか?」を最初に考える
2
必要な具体的な姿を決定

その目標達成に必要な能力・資源・体制を明確化
3
現状を詳しく調査

目標と現実のギャップを正確に把握
4
変革シナリオを構築

ギャップを埋めるための創造的解決策を設計

しかし、成功事例に頼るコンサルタントは「既存の枠組み」の中でしか思考しません。「以前このパターンで成功したから」という発想では、革新的な解決策は生まれません。

【害毒5】継続的成長を妨げる

成功事例による改善は、多くの場合「一時的効果」に終わります。なぜなら、その企業固有の「根本的な変革力」が育っていないからです。

📉 継続性の欠如パターン

  • 第1年目:コンサルタントの指導で数値改善(成功!)
  • 第2年目:同じ方法を継続するが、効果が徐々に減少
  • 第3年目:環境変化に対応できず、元の水準に逆戻り
  • 結果:「また成功事例を探さなきゃ」という悪循環へ

これに対し、社長自身が「なぜこの方法が効果的だったのか」を理解し、「次はどう応用すべきか」を考える力を持てば、継続的な成長が可能になります。

一倉定が説いた「自立促進」の真髄

一倉定の指導料は月額30万円×24ヶ月=720万円という、当時としては破格の金額でした。しかし彼は「私がいなくなっても会社が成長し続ける仕組み」を作ることに全力を注ぎました。

🎯 一倉定の指導哲学

「事業計画ほど会社のことが分かるツールはない」

事業計画書を社長自身が作成することで、以下の力が同時に身につく:

  • 自社の強み・弱みの正確な把握
  • 市場環境の構造的理解
  • 数値計画の論理的構成力
  • 未来への明確なビジョン構築
  • 経営判断の確実性向上

関洋一氏が一倉理論から抽出した「Sフレーム」は、複雑な一倉理論を「年繰(売上高営業利益率)」と「賃率(人件費率)」という2つの指標に集約したものです。これは一倉理論の「最も効果的な部分」を特定し、実践しやすくしたものですが、その根底にあるのは「社長自身が数字を見て判断する力」の育成です。

伊丹敬之理論が証明する「目的論」の絶対優位

伊丹敬之教授は1972年にカーネギーメロン大学で博士号(Ph.D.)を取得した、日本経営学界の最高峰です。当時、日本人がアメリカでビジネス系の博士号を取得するのは極めて稀でした。その「数理的・定量的思考の権威」が、40年の研究を経て最終的に到達した結論——それが「方法論ではなく、目的論を」という思想です。

🔬 伊丹理論の核心的批判

「経営戦略の定石を語る本は山ほどあるが、なぜ失敗してしまうのかを理詰めで語る本はほとんどない」

この批判は、まさに成功事例依存のコンサルティング業界への警鐘です。

方法論 vs 目的論:決定的な違い

❌ 方法論思考

「どうやるか?」が中心

  • 過去の成功事例を探す
  • ベストプラクティスを真似る
  • 手法・ツールに依存
  • 環境変化に脆弱

✅ 目的論思考

「なぜやるか?」が中心

  • 達成したい未来を描く
  • 固有の課題を見極める
  • 本質的思考力を鍛える
  • 環境変化に強靭

伊丹教授が指摘する「人間性弱説」——「人は性善なれど弱し。正しいことは理解できるが、実行する意志力・継続力が不足する」——は、まさに方法論依存の限界を示しています。「どうするか」は分かっても「なぜやるのか」が曖昧では、継続できないのです。

收益満開経営が実践する「成功事例を語らない」コンサルティング

私は30社以上の財務改善に携わってきましたが、成功事例を一切語りません。なぜなら、真のコンサルティングの価値は「社長自身が答えを見つける力」を育てることにあるからです。

收益満開経営の3つの原則

1

「なぜ?」を徹底的に問う

「売上が落ちた」という現象に対し、私は決して「営業を強化しましょう」とは言いません。「なぜ売上が落ちたのですか?」「市場が縮小したからですか?それとも競合が強くなったからですか?それとも自社の商品力が低下したからですか?」——徹底的に「なぜ」を問い、社長自身が真の原因に気づくまで対話を続けます。

2

社長自身が数字を作る

一倉定の教え「事業計画ほど会社のことが分かるツールはない」を実践し、社長自身に事業計画書・資金繰り表を作成してもらいます。税理士任せにせず、自分で数字を組み立てることで、経営の本質が見えてきます。これは理化学研究所の脳科学研究が証明した「4ヶ月で経営センスが身につく」メカニズムとも一致します。

3

古典の叡智で本質を深める

渋沢栄一の「論語とそろばん」、二宮尊徳の「道徳経済合一説」、近江商人の「三方よし」——2000年にわたり実証された経営の本質を現代財務理論と融合させることで、単なるテクニックではない「経営哲学」を身につけてもらいます。

他のコンサルとの決定的な違い

項目 一般的コンサル 收益満開経営
アプローチ 成功事例の提示 本質的な問いかけ
目的 短期的数値改善 社長の思考力向上
手法 パターン適用 個別文脈の理解
成果物 コンサル作成の計画書 社長作成の計画書
最終ゴール 依存関係の継続 完全な自立

AI時代における真のコンサルタントの価値

ChatGPTをはじめとするAIの登場により、「方法論」は一瞬で陳腐化しました。あらゆる業界の成功事例も、ベストプラクティスも、AIが瞬時に提示します。

🤖 AI時代の決定的変化

AIができること

  • 成功事例の瞬時検索
  • 業界データの分析
  • 計画書のフォーマット作成
  • 数値シミュレーション

AIができないこと

  • 「なぜやるのか」を決める
  • 企業固有の文脈理解
  • 社長の覚悟を引き出す
  • 思考プロセスの伴走

だからこそ、これからのコンサルタントに求められるのは「成功事例を語る能力」ではなく、「社長が自分で考え、答えを見つける力を引き出す能力」です。

收益満開経営が目指す未来

私の座右の銘は「志は千里にあり」です。目の前の成果を出すだけなら簡単です。しかし、私が目指すのは千里先——2200年の日本繁栄です。

🌸 收益満開経営の使命

一人ひとりの経営者が真に自立し、
持続的に成長し続ける力を身につける。
それが積み重なって、日本経済全体が変革する。

失われた30年を終わらせ、
2200年の日本に繁栄を残す。

成功事例を語るコンサルタントは、短期的な満足を提供するかもしれません。しかし、社長自身が「考える力」「判断する力」「決断する力」を身につけなければ、真の成長はありません。

だから私は、成功事例を話しません。代わりに、社長自身が「我が社の成功事例」を創り出せるよう、徹底的に伴走します。

まとめ:真のコンサルティングとは

成功事例を語ることは、コンサルタントの「思考停止」「依存関係構築」「イノベーション阻害」を招く。

一倉定が説いた「自立促進」、伊丹敬之が証明した「目的論の優位」——これらの学術的・実践的叡智が示すのは、真のコンサルティングとは「社長自身の成長を促すこと」である。

AI時代において、方法論は瞬時に陳腐化する。しかし「なぜやるのか」を自分で決める力は、永遠に価値を持ち続ける。

收益満開経営は、成功事例を語らない。
なぜなら、あなた自身が成功事例になるからだ。

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🌸 古典の叡智

  • 渋沢栄一「論語とそろばん」
  • 二宮尊徳「道徳経済合一説」
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  • 一倉定「社長学」

代表:長瀬好征(ながせ よしゆき)

法学修士 | 30社以上の財務改善実績 | 座右の銘「志は千里にあり」

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