資金不足が見えたら「戦うか逃げるか」を決める|逃げることも立派な経営判断
連載「不安を恐怖に変える経営」(毎週金曜・全5回)
第1回 資金繰り表をつくっても不安は消えない|それでも社長が資金繰り表をつくるべき理由
第2回 漠然とした不安を「いつ・いくら」に変える|社長が自分でつくる3か月資金繰り表
第3回 戦うか逃げるかを決める(この記事)
第4回 悪い知らせから目をそらさない社長が成長する
第5回 会社が大きくなるほど見通しが要る
「1月末に1,200万円足りない」——資金繰り表にこの一行が書けたとき、社長の前には二つの道があります。戦うか、逃げるかです。
連載の第1回・第2回では、霧のような不安を「いつ・いくら」という対象のある恐怖に変える方法をお伝えしてきました。怖さは消えません。それでも、何と戦えばよいかが見えるようになります。
ところが、恐怖が見えたあとで立ち止まってしまう社長は少なくありません。借りに行くべきか。値上げを切り出すべきか。それとも、赤字の仕事をやめるべきか。どれも痛みを伴うので、決めきれないまま日にちだけが過ぎていきます。
特に選ばれにくいのが「逃げる」道です。縮小、撤退、計画の延期。こうした言葉には、負けや後退の響きがあります。しかし経営では、逃げることで会社と社員を守れる場面がいくらでもあります。
そして、戦うことも逃げることも選ばないまま時間が過ぎると、選べる手そのものが減っていきます。第1回でお伝えしたとおり、不足が3か月前に分かれば打てる手は多く、1週間前には信用を削る手しか残らないことが多いのです。
収益満開経営の長瀬好征です。財務を軸とした経営コンサルタントとして、100人以上の社長と面談し、30社以上の財務改善を支援してきました。
第3回の今回は、資金不足が見えたあとに社長が選べる道を、「戦う」と「逃げる」の二つに分けて整理します。重心は手法の紹介ではなく、どちらを、どう組み合わせて選ぶかという判断の仕方に置きます。
この記事を読むと、次のことが分かります。
- 資金不足が見えたときに選べる「戦う手」と「逃げる手」の一覧
- 「逃げる」が負けではなく、立派な経営判断である理由
- 不足が「一時的」か「構造的」かで、選ぶ手が変わる理由(計算例つき)
- 戦うか逃げるかを決めるための5つの問い
- どちらも選べないまま時間が過ぎると何が起きるか
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📋 目次
資金不足が見えたとき、社長は何を選べるのか?
選べる道は大きく二つです。足りないお金を外から取りに行く、あるいは入ってくるお金を増やす「戦う手」と、出ていくお金や抱えている事業を減らして守る「逃げる手」です。どちらにも複数の選択肢があり、組み合わせることもできます。
「戦うか逃げるか」という体の反応の説明には、歴史的な背景があります。アメリカの生理学者ウォルター・キャノンは、1915年の著書『Bodily Changes in Pain, Hunger, Fear and Rage』で、強い恐怖や怒りなどに伴う体の変化を、闘争や逃走といった緊急の行動に備える働きとして説明しました。これは、現在「闘争・逃走反応(fight-or-flight response)」として知られる考え方です。
ここで大切なのは、体が反応するのは「対象のある脅威」に対してだという点です。目の前に何がいるのか分からなければ、戦う準備も逃げる準備も定まりません。資金繰りも同じで、「いつ・いくら」が見えてはじめて、戦うか逃げるかを選べるようになります。第1回・第2回で不安を恐怖に変えてきたのは、この選択の場に立つためでした。
では、具体的にどんな手があるのか。代表的なものを一覧にします。
| 区分 | 手の例 | 効き方 | 代償・注意点 |
|---|---|---|---|
| 戦う | 金融機関からの借入 | まとまった額を一度に補える | 審査に時間がかかる。返済が毎月の支払いに加わる |
| 売掛金の回収を早める | 借りずに入金の時期を前に寄せる | 取引先との関係に配慮が要る | |
| 支払条件の交渉 | 出ていく時期を後ろに寄せる | 頼み方を誤ると信用を削る | |
| 値上げ | 毎月の入金そのものを増やす | 効果が出るまで数か月かかることが多い | |
| 逃げる | 設備投資・出店などの延期 | 予定していた大きな支払いを先に送る | 成長の時期が遅れる |
| 赤字の仕事・商品の絞り込み | 毎月の出入りの赤字を止める | 売上は減る。取引先への説明が要る | |
| 在庫・使っていない資産の圧縮や売却 | 寝ているお金を現金に戻す | 売り急ぐと値が下がる | |
| 部門・事業の撤退や売却 | 会社の形そのものを小さく強くする | 社員・取引先への影響が大きい。判断を誤ると利益が減る |
一覧を見ると分かるとおり、どの手にも代償があります。代償のない手はありません。だからこそ、社長が「この代償を引き受ける」と決めなければ、どの手も動き出しません。打つ手を選ぶとは、引き受ける代償を選ぶことでもあるのです。
なぜ「逃げる」も立派な経営判断なのか?
逃げるとは、守るべきものを守るために、守れないものを手放すことだからです。会社を続けること、社員の給与を払い続けることが目的であれば、そのために事業の一部を退かせるのは、目的に沿った判断です。負けとは、逃げることではなく、決めないまま守るべきものまで失うことです。
「三十六計逃げるに如かず」という言葉があります。由来としてよく知られているのは、中国の歴史書『南斉書』王敬則伝に見える「檀公の三十六策、走ぐるは是れ上計(檀公三十六策、走是上計)」という一節です。檀公とは、南朝宋の将軍・檀道済のことで、北魏の軍に追われた際、夜に砂を量って兵糧に見せかけ、兵を大きく損なわずに退いた故事で知られる人物です。
なお、同じ名前を持つ兵法書『兵法三十六計』は、ずっと後の時代にまとめられたものとされています。ここで取り上げたいのは書物ではなく、古くから「うまく退くこと」が将の重要な力量と見なされてきたという点です。
檀道済の退き方には、経営に通じる点が二つあります。一つは、退くこと自体を目的にせず、兵を残すために退いたこと。もう一つは、慌てて背を向けたのではなく、敵の目をあざむくだけの準備をしてから退いたことです。
経営に置き換えれば、逃げる手にも「何を守るために退くのか」と「どう退くか」の二つが要ります。赤字の仕事をやめるなら、取引先にいつ、どう伝えるか。部門を閉じるなら、社員の行き先をどうするか。逃げる手は、戦う手と同じくらい、いえ、それ以上に段取りが要る決断です。
ただし、何でも逃げればよいわけではありません。赤字に見える部門でも、やめると会社全体の利益がかえって減る場合があります。共通の費用を負担してくれていた部門を閉じると、その費用が残りの部門に乗るからです。撤退を考えるときの数字の見方は、赤字部門をやめると利益が減る場合の見分け方で詳しく書いています。また、どの仕事が赤字なのかを見つけるところから始めたい方は、赤字の仕事を原価の構成表で見つけて絞り込む方法が参考になります。
不足が「一時的」か「構造的」かで、なぜ選ぶ手が変わるのか?
一時的な不足は、借入や支払時期の調整で乗り切れます。しかし、毎月の入金より支払いが多いという構造的な不足は、借入だけでは消えません。構造を変えないまま借りると、借りたお金が減っていくうえに返済が加わり、借入が時間稼ぎで終わってしまいます。構造的な不足には、毎月の出入りそのものを変える手が要ります。
第2回の計算例をもう一度見てみます。以下は考え方を示すための計算例で、特定の会社の数字ではありません。月の入金がおよそ3,000万円の会社で、11月初めに2,000万円あった預金が、1月末には350万円まで減る見通しでした。安全ラインは1,550万円なので、1月末には1,200万円届きません。
安全ラインについて補足します。第2回では、人件費・経費と借入返済という固定的な支払いの1か月分(1,550万円)を安全ラインにしました。私自身が社長にお伝えしている手元資金の目安は、月商の1か月分です。この会社の月商が入金と同じくらいだとすれば約3,000万円になり、不足はもっと大きく見えます。固定的な支払いの1か月分を目安にしてもかまいません。ただ、何を「固定費」に入れるかは会社や人によって大きく変わり、固定費は実はとても曖昧な線です。どちらを使うにしても、自社の安全ラインを一つに決め、毎月同じ線で見ることが大切です。ここでは第2回と比べやすいよう、1,550万円のまま進めます。
この1,650万円の減り方を分けてみると、次のようになります。
| 計算例(万円) | 11月 | 12月 | 1月 | 3か月計 |
|---|---|---|---|---|
| 毎月の出入り(入金-毎月の支払い-返済) | ▲50 | ▲250 | ▲250 | ▲550 |
| その月だけの支払い(賞与・納税) | 0 | ▲700 | ▲400 | ▲1,100 |
| 預金の増減 | ▲50 | ▲950 | ▲650 | ▲1,650 |
賞与と納税による1,100万円の減少は、その月が過ぎれば止まる一時的なものです。一方、毎月の出入りの▲250万円は、何も変えなければ2月以降も続く構造的な不足です。
では、2月から4月も1月と同じ出入りが続くと仮定して、四つの選び方を比べてみます。借入は12月に1,200万円・5年の元金均等返済とし、2月から元金が月20万円加わるものとします(利息は簡単にするため省いています)。赤字の仕事の絞り込みは、仮に2月から毎月の出入りを270万円改善できるものとします。
| 計算例:月末残高(万円) | 1月末 | 2月末 | 3月末 | 4月末 |
|---|---|---|---|---|
| A:何も決めない | 350 | 100 | ▲150 | ▲400 |
| B:戦う(借入のみ) | 1,550 | 1,280 | 1,010 | 740 |
| C:逃げる(絞り込みのみ) | 350 | 370 | 390 | 410 |
| D:戦う+逃げる(借入+絞り込み) | 1,550 | 1,550 | 1,550 | 1,550 |
Bの「借入のみ」は、1月末にはいったん安全ラインまで戻ります。しかし2月にはまた割り込み、4月末には740万円まで減っています。毎月の▲250万円に返済の20万円が加わるので、借りたお金が月270万円ずつ減っていくからです。構造を変えないまま借りると、借入は時間稼ぎで終わってしまいます。
誤解のないように補足すると、借入そのものは本来、もっと積極的な手です。事業を伸ばすための投資や、成長に必要な運転資金を確保するために使うものです。私が支援の中で借入を「時間を買う手」として使うのは、主に、リスケ(返済条件の変更)が目前に迫っていて、売上の回復にもう少し時間がかかる見込みのときです。そうした場面では、借入で時間を買ったうえでリスケを選ぶこともあります。どちらの場合も、買った時間で毎月の出入りを直すことが前提です。
Cの「絞り込みのみ」は、毎月の出入りはわずかに黒字に転じます。けれども、賞与と納税で開いた穴は埋まらず、残高は安全ラインのはるか下で推移します。毎月の出入りを直す手は、効き始めるまでに時間がかかり、目の前の一時的な不足には間に合わないことが多いのです。
Dのように、一時的な不足は借入で埋め、構造的な不足は絞り込みで止める。戦う手と逃げる手を役割分担させたときに、はじめて残高が安全ラインで落ち着きます。「戦うか逃げるか」は二者択一とは限りません。不足の中身を分けて見ると、どちらをどれだけ使うかが決まってきます。
借入をする前に、お金が足りなくなる原因を確かめておくことの大切さは、融資だけでは資金繰りが良くならない理由でも詳しく扱っています。
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次の5つの問いに順に答えていくと、選ぶ手が絞られてきます。中心にあるのは「その手は不足の時期に間に合うか」と「その手を打ったあと、何が残るか」の二つです。
戦うか逃げるかを決める5つの問い
- その不足は一時的か、構造的か?——その月だけの支払いによるものか、毎月の出入りの赤字によるものかを分ける
- その手は、不足の時期までに間に合うか?——効果が出るまでの期間と、最初に安全ラインを割り込む月を並べる
- その手を打ったあと、毎月の出入りはどうなるか?——借入なら返済が加わり、絞り込みなら売上が減る。打ったあとの表を書いてみる
- 何を守るために、何を手放すのか?——守るもの(社員の給与、主要な取引先、会社の存続など)を先に決める
- いつ見直すか?——決めた手が効いているかを、次の資金繰り表の更新日に確かめる
1つめの問いは、前の節で見たとおりです。一時的な不足に構造を変える手だけで挑むと間に合わず、構造的な不足に借入だけで挑むと、借りたお金が溶けていきます。
2つめの問いでは、手ごとの「効くまでの時間」を考えます。値上げは毎月の入金を増やす強い手ですが、取引先との交渉や価格の切り替えを考えると、効果が表れるまでに数か月かかることが多いものです。12月末に最初の不足が来るのに、1月からの値上げしか打たないのでは間に合いません。
3つめの問いは、見落とされやすいものです。手を打つと、資金繰り表の行が変わります。借入をすれば「④借入返済」が増え、仕事を絞れば「②入金」が減ります。打つ手を決める前に、第2回でお伝えした8行の表に、打ったあとの数字を書き入れてみてください。打ったあとの表で、不足の一行がどう変わるかを確かめるのです。
4つめの問いは、逃げる手を選ぶときに特に大切です。守るものが決まっていないと、何を手放してよいかも決まりません。収益満開経営では、判断の基準を「短期で利益を最大化することではなく、目的に近づいているかどうか」に置いています。何を守るかは、会社の目的から決まります。
5つめの問いがあると、決断の重さが少し軽くなります。どの手も、打ってみなければ効き方は分かりません。来月の更新日に確かめ、効いていなければ次の手を選ぶ。そう決めておけば、最初の一手を完璧に選ぶ必要はなくなります。
答えが出たら、第2回で書いた一行に、決めたことを書き足します。たとえば先ほどの計算例なら、次のようになります。
不足の一行:12月末に安全ラインを550万円割り込み、1月末には1,200万円届かない(賞与・納税で1,100万円、毎月の出入りで月250万円減る)
戦う:11月中に、取引先の金融機関へ1,200万円の運転資金を相談する
逃げる:赤字の仕事を洗い出し、1月末で受注を止めるものを決める
見直し:11月末の資金繰り表の更新日
ここまで書けると、不安は恐怖に変わり、恐怖は行動に変わります。
どちらも選べないとき、何が起きるのか?
立ち止まって状況を見ること自体は、自然で役に立つ反応です。問題は、見る段階のまま次に進まないことです。様子見を続けている間にも資金繰り表の日付は進み、選べる手は一つずつ消えていきます。決めないことは中立ではありません。選べる手を失うという、もう一つの選択です。
キャノンが説明した闘争・逃走反応に対して、のちの研究者は、人の急なストレス反応はもっと幅広いと指摘してきました。精神医学者のブラッハは2004年の総説論文(『CNS Spectrums』9巻9号)で、急性のストレス反応を、戦う・逃げるだけでなく、「動きを止めて警戒する(freeze)」などを含む一連の反応として捉える見方を示しています。脅威を前にした人は、戦ったり逃げたりする前に、まず動きを止め、周囲の状況に注意を向けることがあるのです。
ブラッハは、この最初の反応を、恐怖に伴う「立ち止まり、見て、耳を澄ます(stop, look, and listen)」反応と説明しています。なお、逃げることも戦うこともできない状況で起きる、体がこわばって動けなくなる反応(強直性不動)は、論文の中で別のものとして区別されています。
経営に置き換えると、資金繰り表をつくって不足の一行を書くことは、この「立ち止まって見る」段階にあたります。立ち止まって見るからこそ、何と戦えばよいかが分かります。ただ、見る段階は、戦うか逃げるかを選ぶための準備であって、ゴールではありません。
社長の様子見は、「もう少し売上の動きを見てから」「年明けの状況次第で」という言葉で語られます。もちろん、待つことが正しい場面もあります。ただ、その「待つ」は、いつまで待ち、何が分かったら決めるのかが決まっているでしょうか。期限と条件が決まっていれば、それは選ぶための準備です。期限も条件もない様子見は、判断を先送りしているだけです。
先ほどの計算例で、様子見のまま2か月が過ぎたとします。12月末に安全ラインを割り込んでから借入の相談に行けば、審査の間に1月の納税が来ます。絞り込みを決めても、効き始めるのはさらにその先です。3か月前なら選べた手の多くが、選べなくなっています。
様子見から抜け出すいちばんの方法は、前の節の5つの問いのうち、2つめだけでも答えることです。「最初に安全ラインを割り込むのは何月か」「この手が効くのは何か月後か」。この二つを並べると、決めなければならない期限が見えます。期限が見えれば、人は動き出せます。
「戦う」と決めて借入を相談するとき、何を伝えればよいのか?
伝えるべきは、「いつ・いくら足りないか」と、その不足が一時的か構造的か、そして構造的な部分にどんな手を打つかです。不足の時期と額が見えている社長ほど、金融機関と対等に話せます。
戦う手の代表は借入です。そして、借入の相談で社長がいちばん困るのは、「いくら必要なのか」「なぜ足りなくなるのか」を尋ねられて、はっきり答えられないときです。答えられないまま「とにかく貸してほしい」と頼めば、話は貸すか貸さないかの一点になり、社長は頼む側に立つしかありません。
反対に、資金繰り表と前の節の一行を持っていれば、話の中身が変わります。「1月末に1,200万円足りなくなります。うち1,100万円は賞与と納税による一時的なもので、毎月の出入りの赤字月250万円は、赤字の仕事を絞り込んで止めます。絞り込みの効果は毎月の資金繰り表でお見せします」。こう話せる社長は、お金を借りる相手であると同時に、返す道筋を示せる相手になります。
これは借入に限った話ではありません。支払条件の交渉でも、回収を早めてもらうお願いでも、「いつまでに、いくら、なぜ」が言える社長の頼みは通りやすくなります。逃げる手でも同じです。取引先に仕事の受注を止めると伝えるとき、時期と理由がはっきりしていれば、関係を壊さずに退ける余地が広がります。
金融機関とどう付き合っていくかは、この連載のあとに予定している「銀行との付き合い方」のシリーズで、あらためて詳しくお伝えします。
📝 まとめ:選ばないことが、いちばん高くつく
資金不足が見えたとき、社長が選べる道は「戦う」と「逃げる」です。戦う手は、借入、回収の前倒し、支払条件の交渉、値上げ。逃げる手は、投資の延期、赤字の仕事の絞り込み、資産の圧縮、撤退や売却。どの手にも代償があり、打つ手を選ぶことは引き受ける代償を選ぶことでもあります。
逃げることは負けではありません。守るべきものを守るために、守れないものを手放す判断です。そして、不足が一時的か構造的かを分けて見ると、戦う手と逃げる手をどう組み合わせればよいかが見えてきます。構造を変えないままの借入は時間稼ぎで終わり、構造的な不足は毎月の出入りを変える手でしか止まりません。
いちばん避けたいのは、どちらも選ばないまま、期限のない様子見を続けることです。決めないことは、選べる手を一つずつ失っていくという、もう一つの選択だからです。
今日からできること
- 資金繰り表の不足を、「その月だけの支払い」と「毎月の出入り」の2つに分けて書く
- 考えている手ごとに「効くまでの期間」を書き、最初に安全ラインを割り込む月と並べる
- 不足の一行の下に「戦う」「逃げる」「見直し」の3行を書き足す
次回の第4回(11月6日公開予定)では、悪い数字や悪い知らせとの向き合い方を取り上げます。悪い知らせを前向きな言葉に言い換えるのではなく、正面から受け止める社長が、なぜ成長していくのかをお伝えします。
※本稿は長瀬好征の実務経験をもとに、AIを構成・編集のパートナーとして活用し作成しました。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の経営判断や借入・撤退の推奨を目的とするものではありません。計算例は考え方を示すための簡便なもので、利息や税金などは省略しています。
❓ よくある質問
大きく「戦う手」と「逃げる手」の二つです。戦う手は、金融機関からの借入、売掛金の回収を早める、支払条件の交渉、値上げなど。逃げる手は、設備投資や出店の延期、赤字の仕事・商品の絞り込み、在庫や使っていない資産の圧縮・売却、部門・事業の撤退や売却などです。どの手にも代償があり、組み合わせることもできます。
失敗ではありません。逃げるとは、守るべきもの(会社の存続や社員の給与など)を守るために、守れないものを手放す判断です。ただし、赤字に見える部門でもやめると会社全体の利益が減る場合があるため、何を守るために退くのかと、どう退くかの段取りを決めてから選びます。
不足が賞与や納税などによる一時的なものなら、借入で乗り切れることがあります。しかし、毎月の入金より支払いが多い構造的な不足は、借入だけでは消えません。構造を変えないまま借りると、借りたお金が減っていくうえに返済が加わり、時間稼ぎで終わってしまうためです。構造的な不足には、赤字の仕事の絞り込みや値上げなど、毎月の出入りを変える手が要ります。
5つの問いに順に答えます。①不足は一時的か構造的か、②その手は不足の時期までに間に合うか、③手を打ったあと毎月の出入りはどうなるか、④何を守るために何を手放すのか、⑤いつ見直すか。特に、最初に安全ラインを割り込む月と、手が効くまでの期間を並べると、決める期限が見えます。
様子を見ている間にも日付は進み、選べる手が減っていきます。不足の3か月前なら借入の相談や条件の交渉ができても、直前には信用を削る手しか残らないことが多いのです。待つなら、いつまで待ち、何が分かったら決めるのかという期限と条件を決めておきます。
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